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日本酒の辛口と甘口の違いはなに?酸度は何を表す?淡麗甘口と濃醇辛口は更に細かく分類されたもの?

更新日: 公開日:2016/06/22

日本酒を普段飲まない人でも、辛口と甘口が存在することはご存知ですよね。この味の評価は誰かが飲んで勝手に決めたものではなく、きちんとルールが定められています。それをつかさどるものが日本酒度になります。

日本酒度は -4.0 や +3.5 のように数値で表現され、マイナス値は甘口プラス値が辛口として扱われます。これらの数値も算出する基準が決められているため、どのようにして日本酒度が求められるのかが分かれば、辛口・甘口についても理解できるようになるでしょう。

日本酒度とは水との比重を表す数値

日本酒度は4℃の水との重さを比較して数値を求めます。よく 1ml = 1g と言いますが、これは水が4℃の状態で定義された基準値となります。同じ水の量で最も体積が小さくなり密度が濃くなるのが4℃ということなのです。

ちょっとむずかしい話になってしまいましたが、簡単に言うと 1ml = 1g を基準として、それより日本酒が軽いか重いかで日本酒度が決まるのです。

同じ日本酒でも温度が異なれば密度も変わってしまうため、一律15℃の状態で測定すると決められています。直接4℃の水と15℃の日本酒を混ぜる訳にはいかないので、専用の日本酒度計(日本酒度浮ひょう)を日本酒に浮かべて測定します。画像イメージは以下のリンク先を参照してください。

水より軽いと辛口、水より重いと甘口

この日本酒度計(日本酒度浮ひょう)のメモリが指す値が日本酒度となります。水と比重が同じ、つまり 1ml = 1g の状態で日本酒度が±0です。日本酒時計は水より比重が重くなるとマイナスの値を指し、軽くなるとプラスを指します。

そしてマイナス値に傾くと甘口、プラス値に傾くと辛口と評価されます。実際に大辛口やや甘口のようなに表現されることもあります。次の一覧をご覧いただければ、おおまかな分類が理解いただけると思います。

  • 大辛口 ……… +6.0 以上
  • 辛口 …………… +3.5 ~ +5.9
  • やや辛口 ……… +1.5 ~ +3.4
  • 普通 …………… -1.4 ~ +1.4
  • やや甘口 ……… -1.5 ~ -3.4
  • 甘口 …………… -3.5 ~ -5.9
  • 大甘口 ……… -6.0 以下

この重さを左右するのが日本酒に含まれる糖分です。糖分が多く含まれるほど、水より比重が重くなりマイナス値を指す、つまり甘口の日本酒として扱われます。ただし、この数値はあくまで比重であって、味に対する評価値ではないことを知っておいてください。

もちろん糖分が多ければ甘いです。しかし、日本酒には日本酒度とは別に「酸度」が定義されています。この酸度との兼合いで、上記の日本酒度だけでは表現しきれない甘さ辛さの味わいとなるのです。

日本酒の酸度とは

日本酒は作る工程で酵母や麹(こうじ)などから酸が発生するので、pH は酸性側へ傾くのですが、限りなく中性に近い弱酸性となります。炭酸飲料くらいと表現すれば伝わりやすいですかね。この酸性の度合いが酸度となります。

酸度を測る方法

pH で表記してもらえれば分かり易いのですが、きちんと決められた酸度の測定方法があります。日本酒 10ml に対し、アルカリ性である規定の水酸化ナトリウム (NaOH) 溶液を加え、何 ml で中和するかを表したものが「酸度」となります。

この水酸化ナトリウム溶液は、40g の水酸化ナトリウムに水を加えて 10 リットルに希薄した溶液となります。

酸度の高さは酸っぱさではなく辛さになる

酸と聞いて酸っぱいイメージを持つ方もいるでしょう。しかし微量の酸で酸っぱさを感じることはありません。コーラもバナナも ph 上は弱酸性です。でも酸っぱくありませんよね。

酸度は味を引き立てるシャープさと言えば良いでしょうか。酸度が高ければ口当たりも強くなり、輪郭がはっきりした味わいとなり、逆に酸度が低いとマイルドな味として感じやすくなります。キレのある味と表現する時は、大抵この酸度が要因となることが多いです。

そしてこの酸度が強い方が刺激も大きいため、口の中で辛いと感じるのです。

酸度により日本酒度のプラスマイナスが逆転することもある

前述の日本酒度は比重による糖質の量を数値化したものと説明しましたが、酸度はダイレクトに味わいを左右する数値です。よってこの酸度の強さによって、日本酒度がプラスなのに甘口、マイナスなのに辛口といった状態に成り得るのです。

日本酒度だけ見て辛口・甘口を判断すると、実際に飲んだ時に何か違うと感じることがあると思います。ぜひ、辛さは酸度も関係していることを覚えておいてください。

淡麗甘口と濃醇辛口は酸度に依存している

甘口や辛口の表現として淡麗(たんれい)や濃醇(のうじゅん)と記載されていることがあります。読んで字の如く、前者はマイルドで後者はシャープな味わいを表したものです。ここまでお話すればお分かりでしょう。淡麗甘口は酸度の低い甘口のお酒で、濃醇辛口は酸度の高い辛口のお酒を指します。

全ての日本酒が淡麗・濃醇といった表現をしていないので、具体的な酸度で示すのは難しいですが、言葉の意味を理解すれば日本酒選びの参考になるかと思います。

日本酒選びの基準は日本酒度だけでなく酸度も参考に

ご覧いただいた通り、日本酒度だけでは甘口・辛口を正しく判断できないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。まずは好きな日本酒の日本酒度・酸度を確認して、それを基準に他のお酒を飲み比べてみると、より自分好みの日本酒を見つけることができるでしょう。

でも、これらの度数も決められた測定方法により求められた数値に過ぎないので、実際に飲んで美味しいと思ったものを選ぶのが一番良いと思います。様々なお酒を飲み比べしてみるのも、日本酒の醍醐味の1つですからね。

それでは良き日本酒ライフを。

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このブログの運営者

NJ

元システムエンジニア。ガジェットのレビューや、パソコン・スマホ操作のノウハウをブログで発信。現在は個人事業主として独立。Web サイト運営、ポップデザインや動画制作など、パソコンでモノづくりをしている。

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