【レビュー】ABOAT 製 USB Type-C ケーブルはコスパ最高の充電用ケーブル

2016年の末から増えてきた USB Type-C 対応機器。2016年10月発表の Macbook Pro そして11月発表の Xperia XZ と、身近なガジェット機材が USB の新規格である USB Type-C に対応し、これから USB Type-C が主軸になろうとする波が押し寄せてきています。
USB Type-C の特徴
Android ユーザーであれば馴染みのある micro USB は Type-B に属します。コネクタが小さいためスマートフォンが薄型・軽量化するために一役買っていますが、上下非対称であるため、差込口の向きを合わせるのが大変なのが難点です。
しかし USB Type-C は、コネクタ大きさこそ micro USB と同等ですが、ご覧の通り上下対象となっているのが特徴の1つとなっています。
つまり上下の向きを気にせず、どちらの向きに差し込んでも使える便利な仕様になっています。僕個人としては、Type-C が一般的に普及する日を待ち望んでいたので、ようやく製品が追いついて嬉しい限りです。
他にも転送速度の向上や、メス側のコネクタを持つ機器からの給電能力が上がったため、より使い勝手が良くなりました。
さて、今回紹介するのは ABOAT 社より販売されている USB Type-C のケーブルと、micro USB から Type-C へ変換するためのアダプタになります。当ブログでの問い合わせを機に、サンプル品を提供いただいてのレビューとなります。
ABORT USB Type-C 製品をチェック
届いた製品を開封すると、ご覧の通りどちらも収納ポーチに格納されています。鞄の中に投げ入れると、絡まったり他の荷物に押しつぶされて断線するリスクが高くなるので、このようなケースが付属しているのは嬉しいですね。
材質や強度はしっかりしたものではありませんが、ケーブルを入れる程度であれば十分です。薄手のポーチなので、おまけ程度に捉えておきましょう。
ABOAT USB Type-C ケーブル
USB Type-C ケーブルは、片側が通常の USB Type-A になっているため、USB 対応アダプターで利用することができます。そして何と言っても、異なる長さの3本のケーブルがセットになっているのが、この製品の特徴です。
0.5m、1.0m、2.0m と環境によって使い分けることもできます。職場等のデスクで利用するなら 0.5m がベストです。程好い長さで配線が邪魔にならず小回りが利くため、個人的には一番気に入っています。そして 2.0m と長めのケーブルは、車の後部座席でシガーソケットから充電するのに適した長さでした。また、配線の都合で電源との距離が離れた場合にも使えます。
1.0m のケーブルは一般的な USB ケーブルの長さです。90cm から 1m あたりが最も普及している長さですが、どうにも中途半端すぎて、ベストな使い道を見つけることが出来ず、いつも我慢しながら使っているサイズです。
第一印象は「これで899円は安い」でした。通常 USB Type-C であれば1本で1,000円前後するのに、3本セットでこの値段は破格です。しかし安いなりの理由もありそうなので、この点については後半で触れていきます。
ケーブル強度は可もなく不可もなく普通です。こればかりは長期使用しないことには評価できないため、一方的に決めつけることはできません。Anker のケーブルより若干細いですが、不安になるような細さではありません。
ABOAT USB Type-C 変換アダプタ
通常、アダプタを購入するとアダプタだけが届くのが当たり前ですが、ABORT のこちらの製品は、なんとケーブルまで付属しています。本来、変換アダプタを利用する人は、これまで使っていた micro USB ケーブルを活用するために購入すると思いますが、ケーブルセットというのが独特な商品構成だと思ってしまいました。
無論 USB ケーブルは消耗品なので、アダプタを使っていても古いケーブルが断線してしまったら新たに買い直さなくてはいけません。しかしこちらの製品は古いケーブルが断線しても最初から新しい予備が付いていると考えれば、アダプタ購入を検討している人にとってはありではないでしょうか。
USB Type-C ケーブルと変換コネクタを比較する
micro USB と Type-C の機器を持ち歩く人にとっては、変換アダプタがあれば必要なケーブルは1本だけになります。しばらくは micro USB で充電する機器がなくなることは無いので、あると便利なアイテムです。
ただ、Type-C コネクタ部とケーブルまでの間が長くなってしまうため、ちょっとした力で負荷が掛かってしまい、接続機器のコネクタ部を損傷するリスクを秘めています。このためケーブルをスマホにつなぎっぱなしで操作する人には、あまりおすすめできません。
変換アダプタを挿すと隙間ができる
実際に ABORT の変換アダプタを micro USB に接続したのが次の画像です。奥までしっかり刺さっていないように見えますが、これが限界です。
どうも個体差があるようで、2つのアダプタのうち1つのメス側の挿入部分が少し固い印象を受けました。変換アダプタは頻繁に抜き差しして使うものなので、固すぎると micro USB のコネクタ損傷にもつながるため、若干残念な点でした。ただ個体に依らず、刺さってしまえばしっかりと固定されるので、簡単に抜けるようなことはありません。
もし抜きやすさを考慮して隙間があるデザインにしたのであれば、奥までしっかり挿せるようにして、結合部分をもう少し緩めに作ってくれた方が勝手が良いのではないかと感じました。
USB Type-C 専用ケーブルのほうが安心感がある
実際にアダプタを接続したものと、USB Type-C 専用ケーブルを見比べてみましょう。左下のケーブルは、僕がこれまで使っていた Anker の micro USB ケーブルに ABORT の変換アダプタを挿し込んだものになります。
これを見ても、やはりアダプタ接続にすると、コネクタを支える部分が長いのが少し引っ掛かりますね。micro USB と Type-C の機器をそれぞれ充電することを目的とするのであれば、アダプタで対応するよりも、ケーブルを2本持ち歩いた方が安心感があります。
前述の通り、ABORT の USB Type-C ケーブルは値段も安いので、中途半端な思いで変換アダプタを購入するのであれば、迷わず Type-C 専用ケーブルを購入することをおすすめします。
アダプタがメインで、ケーブルがおまけで付いてくる画期的な製品ではありますが、いまいち付属ケーブルの用途が見出だせないところが、僕の中のモヤモヤを助長しているのかもしれません。
ちなみに Type-C コネクタの挿し心地は、どちらも普通もしくはやや緩めでした。しかし緩すぎて勝手に抜けることは無いので安心してください。
USB Type-C 専用ケーブルは USB 2.0
メリット・デメリットは相反するものなので、評価できる面に対する力不足な点もあります。この ABOAT の USB Type-C ケーブルは値段が安い反面、Type-C のメリットを潰してしまっている要因も存在します。それがこちらです。USB Type-A 側のコネクタ(写真左)を見てください。
基盤の部分が青くありません。これは USB 2.0 です。USB Type-C の転送速度を遺憾なく発揮するには、USB 3.0 の能力を必要とします。
規格 | 最大転送速度 |
---|---|
USB 2.0 | 480 Mbps |
USB 3.0 | 5 Gbps |
USB 3.1 | 10 Gbps |
ケーブルをつないでデータをパソコンに送る場合など USB 2.0 では能力不足です。これまで USB 2.0 を使っている人であれば違和感はありませんが、スマホの写真1枚とってみても、年を重ねる毎にカメラ性能が良くなり写真の容量を肥大化してきています。既に USB 3.0 の高速転送に慣れてしまっている人にとっては、USB 2.0 による転送はストレスに感じるでしょう。
充電用ケーブルとしてはコスパは最強
前述の通り、値段と引き換えに能力不足な面は妥協が必要です。しかし、データ転送を目的としない人にとっては、USB Type-C のケーブルが格安で手に入るのは大きなメリットになります。タイトルにも記した通り、充電用ケーブルとして使うのであれば、Type-C のケーブルをここまで安く手に入れられる ABOAT の製品を選ぶ価値はあると思います。
3本セットなので職場に1本、自宅に1本、車の中に1本と、ケーブルを持ち回ることなく据え置きにするのが一番理想的な使い方ではないでしょうか。むしろ持ち運びしないことで断線するリスクも軽減できます。どうしても転送速度が速いケーブルを求めるのでれば、1本だけ USB 3.0 に対応したケーブルを購入すると良いでしょう。
急速充電にも対応しているので、急速充電アダプタと併用することも可能です。
まとめ
ABOAT USB Type-C ケーブルはこんな人におすすめ
- できる限り安価で手に入れたい
- 1本ではなく複数本欲しい
- データ転送用ではなく充電用ケーブルが欲しい
- 変換アダプタを使いたくない
2018年10月の時点で、こちらの商品は販売が終了しているようなので、類似製品のリンクを掲載しておきます。
ABOAT USB Type-C 変換コネクタはこんな人におすすめ
- micro USB ケーブル1本だけ持ち歩きたい
- 今まで使っていたケーブルを有効活用したい
こちらの製品も同様に販売が終わっているようです。類似品で Type-A からの変換コネクタも付属している、こちらの商品を是非チェックしてみてください。
USB ケーブルは消耗品なので、買い直すことを考えれば値段で決める方法も選択肢の1つです。この ABOAT を含め、近年値段の安さが武器になっている海外メーカーの製品が増えています。しかし値段の安さと引き換えになっている部分が必ず存在するため、その点をきちんと理解しておくことも大切です。
ネットショップでしか販売していない商品は現物を手に取ることができないため、レビュー内容が参考になるケースが多いと思います。中には怪しいレビューもありますが、今回はサンプル提供という形ではあったものの、僕なりに正直に分析したつもりなので、参考にしていただければ幸いです。
以上、ABOAT の USB Type-C 関連製品の紹介でした。