一日で取得できる資格「食品衛生責任者」の養成講習会の流れ
食品衛生責任者の役割と資格取得までの大まかな流れについては、こちらの内容を参照してください。
ここでは、食品衛生責任者講習会で具体的にどのようなことを行うかについて説明をしていきます。
食品衛生責任者講習会の流れ
以下の内容は東京都の講習会に関する内容となります。講習内容は全国で統一されていますが、流れは都道府県により異なる点があるのでご注意ください。
講習会場入り – 受付(~ 9:30)
9:30 までに会場に入り、講習会の費用 10,000円を支払います。その場で無記名の領収書が発行されます。持ち物は以下の通りです。
- 食品衛生講習会受講受付票(事前に郵送で送られてきたもの)
- 受講料 10,000円
- 筆記用具(シャープペンシル、消しゴム、ボールペン、マーカーペン、色ペンがあれば困ることはないでしょう)
- 82円切手(人により要らないケースがありますが、受付票に明記されている場合は持参しなくてはいけません)
着席(~ 9:40)
座席は受付順に決められた番号で前から順番に指定されます。僕の行った会場である「立川グランドホテル」は、約200人ほどが受講していました。窮屈な会場もあるようですが、座席・テーブル共に余裕のある配置でした。座席には出席カードと教本、そしてメモ書きできるノートが置かれていました。
各座席毎に番号が振られているため、席を入れ替えることは出来ません。これは最後に名前が印字された手帳が配られるためだと思われます。
受講中の飲み物、昼休みの会場での飲食は許容されていました。携帯電話はパソコン等の電子機器は使用禁止となっています。
出席カードの説明と記入、受講上の注意(9:45 ~ 10:00)
出席カードには氏名、住所、生年月日、電話番号を記入し出席カードは昼休みの間に提出します。これは病気等で早退する場合を考慮したものです。早退する場合は、午前の講習受講後3ヶ月以内であれば 1,000円追加で午後だけの補講を受けることができます。午前の講義だけ受けて早退する人は、スタッフに連絡し補講日を予約する必要があります。
なお、現在飲食関連の仕事に従事している場合は、次の内容を記載する欄があるため、事前に把握しておきましょう。分からない場合は昼休みの間に調べて書くように言われます。
- 会社(法人)名(法人の場合)
- 屋号/店舗名
- 所在地
- 勤務先電話番号
- 具体的な営業内容(飲食業の中でも何を扱っているのかを明記)
- 所轄保健所
午前の講義(10:00 ~ 12:45)
午前中のタイムスケジュールは以下の通りです。
時刻 | 内容 |
---|---|
10:00 ~ 11:00 | 衛生法規 |
11:00 ~ 11:10 | 休憩 |
11:10 ~ 12:45 | 衛生法規・公衆衛生学 |
講義の内容は、時間が無いためテキストの重要事項のみをピップアップして説明していました。正しく運用するためには、繰り返し読んで内容を身につけることが大切だと実感しました。
衛生法規では法律や条例がどのように制定されているのか、食品衛生法の具体的な内容、営業施設の基準、食品衛生責任者としての責務等について説明がありました。アレルギー食材の表示義務など、普段見慣れている表示内容がどのようなルールに基いて記載されているのが分かります。
全て法律で制定されているわけではなく、自治体の条例で決められていることも多く、何を守らなくてはいけないかを把握しておかないと、責任者としての役割を全うするのは難しいように思えました。
公衆衛生学は環境に関わる衛生学の内容となります。インフルエンザ等の感染症や食育、水質検査の必要性、人口統計など、食に直接関連する話は少なかったのですが、日常生活において知っておいて損はない知識です。
昼休み(12:45 ~ 13:30)
休み時間が45分と短めです。13:00 から前述の出席カード提出を受け付けてくれます。また、食品衛生責任者プレートの販売も行っていました。食品衛生責任者の名前は、飲食店においては必ず掲示する必要があるので、見たことがあるのではないでしょうか。
なんとお値段 800円!!!
名前を表示することが義務であるため、ここで販売しているプレートを利用する義務はありません。東京都の場合は条例で 10cm × 20cm 以上の長方形である必要があります。別途用意するのが面倒であれば、ここで買ってしまいましょう。ネットで購入できますが、送料含めると 1,000円を越えてしまうので。
ただ名前を表示するために 800円も掛けるなんて勿体ないと思うのであれば、思い切って自作してしまいましょう。決められたサイズさえ守れば良いので、作ろうと思えば簡単に作れてしまいます。僕の場合は責任者として従事する予定がないので、必要になったら自作しようと考えています。
せっかくなので東京都のプレートをベースにした、自作用の Excel テンプレートを用意しました。ご自由に利用ください。
話を戻しますが、45分では外食するにはギリギリの時間です。近くのファミレス(ガスト)で昼食を済ませたのですが、午後開始の13:30 間際に戻って来れました。会場内で飲食できたので、コンビニのお弁当にすれば良かったと少し後悔しています。
午後の講義(13:30 ~ 16:30)
午後のタイムスケジュールは以下の通りです。
時刻 | 内容 |
---|---|
13:30 ~ 13:50 | 食品衛生に関するビデオ |
13:50 ~ 15:00 | 食品衛生学 |
15:00 ~ 15:10 | 休憩 |
15:10 ~ 16:00 | 食品衛生学 |
16:00 ~ 16:05 | 小テスト |
16:05 ~ 16:30 | 解答説明、手帳配布 |
昼食後いきなりビデオ鑑賞なんて、とんでもなくサディスティックな講習です。当然寝ていると注意されます。
後半の食品衛生学は、主に食中毒に関する内容でした。昔は夏場に注意が必要と言われていた食中毒も、ノロウイルスなど冬場に猛威を奮うウイルスのお陰で、年中注意を要するものとなりました。
食中毒は食品から人に感染するだけでなく、人から人、そして人から食品を経由して人へ伝染する極めて危険なものです。特にウイルス系はインフルエンザ同様、空気感染するものもあるので、食品を扱う業者は細心の注意を払わなくてはいけません。
講義では殺菌方法やウイルスを死滅させる方法も触れていました。また、菌をゼロにすることは出来なくても、正しい方法で食品を保存すれば、人に害を及ぼす量まで増えないよう予防することも出来ます。食中毒は家庭料理においても起こり得るので、今すぐに役に立つ内容だと感じました。
小テストは B5用紙に三択問題が5問出題されました。問題用紙下に解答記入欄があり、そちらを切り取って提出します。提出後すぐに講師による解説が実施され、その間に答え合わせが行われます。最後に正答率の発表がありますが、かなり短時間で200人分の答え合わせをしているみたいですね。
惑わせる要素のある問題もありましたが、講義内容を理解していれば消去法でも満点を取れる程度の難易度です。僕は全問正解でしたが、会場内約200人のうち全問正解者は 30% 程度だったようです。いつもは 50% くらい居るらしいです。中には全問不正解の人も 7名いて、当然ですが講習後呼出しをくらっていました。
最後に受講修了証として食品衛生責任者手帳が個々に配られます。番号順にテーブル毎に配られるので、配布もあっと言う間です。全問不正解でも手帳は配られていたので、講習を最後まで受けることが資格取得の条件なのでしょう。
さあ、これで僕も食品衛生責任者として従事できる立場になりました。実際に取得したらそれで良い資格ではなく、責任者として担うためには、年に数回の講習を受けなくてはいけません。現状の把握であったり、法律や条例の改正内容など、新しい情報を常に吸収して食の安全を守るよう努めるのが、責任者としての責務となります。
全体を通して
食品衛生責任者講習会の内容は、比較的興味深い内容だったので、あっという間に時間が過ぎていきました。もっと詳しく知りたい内容もありましたが、この短時間では仕方がないと思います。ボリューム的には2日掛けても良い内容ではないかと感じています。
教本の内容は半分が法規条文(法律や条例の正式な内容)ですが、説明部分は読んで理解できる内容であるため、学習用の読み物としてよく出来ていると思います。きっと自宅でも本棚に延々と眠り続けることはなく、幾度となく読み返す機会はあるでしょう。
これが 10,000円で受けられるのを安いと思うか高いと思うか、立場によって違うでしょうが、一日で無理矢理詰め込む内容だったので値段相応かもしれません。最初は何となく受けるつもりでいたのですが、実際に受講して、上辺だけの知識しかなかった内容の補填ができたので受講してよかったと思っています。
以上、食品衛生責任者養成講習会についてでした。