二十四節気とその意味
春夏秋冬と4つの季節がありますが、それぞれの季節を更に6つに分け、24の期間で表現したものが二十四節気となります。立春、夏至、秋分など、二十四節気の中で耳にしたことがあるものも中にはあるでしょう。
春分、秋分、夏至、冬至は昼の長さ、夜の長さに関連する定義であることはご存知かと思います。この二十四節気は太陽の動きに応じて決められており、毎年日付が固定されているものではありません。暦の上でも「うるう年」や「うるう秒」があって調整していますよね。
今回は、各二十四節気とその意味について紹介します。
二十四節気
暦の上では、春は2月の立春(節分の翌日)から始まります。気象庁では3月から「春」としているので、実際に暦とは1ヶ月ほどずれています。
暦の上での春と、日常で感じている「春」が感覚的に異なっているのは、定義が少し異なることによります。詳細は、それぞれの節気の説明へ記します。
立春(りっしゅん)2月4日頃
「春の気立つを以って也」
暦の上で春となる日。二十四節気では、ここから一年がスタートします。そして立春から春分までに、その年初めて吹く南よりの強い風を「春一番」と呼びます。
立春なのになぜ寒いのか?
春が来たのにこの時期は寒いですよね。それは「春」の定義が「これ以上寒くならない」状態になったら、春がきたとされているからです。つまり、立春は一年で最も寒い時期なのです。この日を境に、段々と気温が上がっていくようになると言うことですね。
雨水(うすい)2月19日頃
「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」
降っていた雪が雨に変わり、また積もった雪も溶け出す時期と言う意味です。実際には、この頃まではたくさんの雪が降ります。ここから少しずつ、寒さが和らいでいく時期に突入していきます。
啓蟄(けいちつ)3月6日頃
「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」
虫たちが冬眠から目覚め、地中から這い出てくる意味があります。昆虫が活動できる温かい時期に近付いてきている証拠ですね。
春分(しゅんぶん)3月21日頃
「日天の中を行て昼夜とうぶんの時なり」
昼と夜の長さがほぼ同じになります。太陽が真東から上がって真西に沈むのは、小学校の理科の授業でも習ったのではないでしょうか。春分の日として国民の祝日に制定されていますが、天文学に基いて制定されるため、年によって日付が異なります。そして毎年2月1日に、翌年の祝日が告示されます。
この日を挟んで前後3日ずつを加えた、計7日間が「春の彼岸」となります。
清明(せいめい)4月5日頃
「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」
つまり、目が出てきた植物も種類が分かり始める時期と言うことですね。地域によっては花見のシーズン真っ盛りです。
沖縄の伝統行事「清明祭」
沖縄ではシーミー(清明祭)と言って、先祖供養の行事として墓参りや、お墓の掃除をしたりします。また、墓前にビニールシートを広げ、ピクニックのように、親族共々ご先祖様と一緒に食事をとる習慣もあるようですね。
穀雨(こくう)4月20日頃
「春雨降りて百穀を生化すればなり」
日増しに暖かくなり、穀物を育てる上で重要な春の雨が降る季節です。ちょうど農産物の種まきを始める時期です。
立夏(りっか)5月5日頃
「夏の立つがゆへなり」
暦の上で夏となる日。田植えの時期もこの頃ですね。都心部ではゴールデンウィーク辺りで、夏日(最高気温25℃以上)を迎えることもあり、早くも半袖が活躍し始める時期でもあります。
小満(しょうまん)5月21日頃
「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」
草木が生い茂る意味があります。桜の木も葉桜となり、暑い季節がやってくるために備え始めます。
芒種(ぼうしゅ)6月6日頃
「芒(のぎ)ある穀類、稼種する時なり」
この芒(のぎ)とは、コメやムギなどのイネ科の植物がもつ、先端のトゲ状の部分を指します。イネ科の植物の種を蒔く時期とされていますが、現代ではもう少し早い時期から種まきが始まっています。
余談ですが、猫じゃらし(エノコログサ)のツンツンしている部分は、芒(のぎ)とは異なります。
夏至(げし)6月21日頃
「陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以てなり」
一年のうち最も昼の時間が長い日です。これは日本だけでなく、北半球に位置する国では同様になります。立夏から約一ヶ月半となり、暦の上では立秋までの中間点となります。
太陽は東から最も北よりの位置から昇ります。
小暑(しょうしょ)7月7日頃
「大暑来れる前なればなり」
梅雨明けが近づき、暑さを実感し始める時期です。小暑から大暑を経て立秋までの約一ヶ月間を「暑中」と呼びます。この暑中に手紙を書いたり、家を訪問することが「暑中見舞い」となります。
また小暑までに梅雨入りしなかった場合、その地域は「梅雨入りなし」となります。
大暑(たいしょ)7月23日頃
「暑気いたりつまりたるゆえんなればなり」
名前の通り、猛烈に暑い時期です。気温が上昇し真夏日や猛暑日を迎え、熱帯夜に悩まされる時期の到来です。外気温だけでなく、日差しも強くなります。梅雨明け最初の祝日である「海の日」辺りは、まさに海水浴には調度良いシーズンになります。
立秋(りっしゅう)8月7日頃
「初めて秋の気立つがゆゑなれば也」
暦の上で秋を迎えます。暑中が終わり「暑中見舞い」から「残暑見舞い」へ変わるのも立秋からとなります。(残暑見舞いの時期は、暦上での定義はありません。概ね8月いっぱいまでを指すことが多いようです。)
立春は逆で、「秋」の定義が「これ以上暑くならない」状態を指すため、立秋の時期が最も暑い期間になります。
また立秋までに梅雨が明けなかった場合、その地域は「梅雨明けなし」となります。
処暑(しょしょ)8月23日頃
「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」
暑さが収まり次第に気温が下がり始める時期です。天候も曇りの日が増え始め、秋の長雨が始まるのもこの頃からです。ただ天候が悪くなるだけでなく、秋雨前線の北上と共に台風も多くやってきます。
白露(はくろ)9月8日頃
「陰気やうやく重りて、露にごりて白色となれば也」
草花に露が付くほど、気温が下がってくる時期です。日中はまだ暑いですが、朝晩は少しずつ冷え込み始めます。
秋分(しゅうぶん)9月23日頃
「陰陽の中分なれば也」
昼と夜の長さがほぼ同じになります。春分同様、太陽が真東から上がって真西に沈み、また祝日としても制定されています。
この日を挟んで前後3日ずつを加えた、計7日間が「秋の彼岸」となります。
寒露(かんろ)10月8日頃
「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」
草花に冷たい露が付く季節。秋の長雨も終わりを迎える頃で、ようやく本格的に秋が始まります。
霜降(そうこう)10月23日頃
「露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆゑ也」
露の季節から霜が降りる季節になります。段々と冷え込みが増し、山々は紅葉に染まります。この日から立冬までの間に吹く寒い北風を「木枯らし」と呼びます。
立冬(りっとう)11月7日頃
「冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也」
暦の上では冬です。まだまだ秋真っ盛りではありますが、時折コートが必要になるほどの冷え込む日も増えてきます。
小雪(しょうせつ)11月21日頃
「冷ゆるが故に雨も雪と也てくだるが故也」
雨が雪に変わり始める季節です。
大雪(たいせつ)12月7日頃
「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」
降り始めた雪が積もり始めます。本格的に冬の季節が到来し、熊などの動物たちも冬眠に入ります。
冬至(とうじ)12月22日頃
「日南の限りを行て、日の短きの至りなれば也」
太陽は東から最も南よりの位置から昇ります。一年のうち最も夜の時間が長い日です。夏至同様、北半球に位置する国では同じ様に夜が最も長くなります。健康を願って、お風呂には柚子を浮かべ、カボチャを食べる習慣も冬至ならではですね。
小寒(しょうかん)1月5日頃
「冬至より一陽起こる故に陰気に逆らふ故、益々冷える也」
本格的な寒さを迎えるこの時期。小寒と大寒の期間を「寒」と呼び、小寒を迎えた日を「寒の入り」とも言います。夏の暑中見舞いと逆に、この時期は「寒中見舞い」となるわけですね。
大寒(だいかん)1月20日頃
「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」
一年間で最も寒さが厳しい時期に入ります。立春を迎える間まで、冷え続けます。まさに真冬そのものです。