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SEX冠ツアー2015ファイナル@赤坂BLITZ ライブレポート【前編・THE冠】

更新日: 公開日:2015/12/06
SEX冠ツアー2015

ついにこの日がやってきました。SEX冠ツアー2015ファイナル!

SEX MACHINEGUNS と THE 冠による対バン形式で行われる同ツアーは、2010年から始まり今年で6回目の開催を迎えます。ツアー自体の存在は知っていましたが、SEX冠のライブへ参戦するのは初めてなので、当日を迎えるのをとても楽しみにしていました。

メタルこそ音楽の極み

ヘビーメタルと言えば、2014年辺りから BABYMETAL が世界規模で大ブレイクしていますが、かなりの色物ユニットです。しかしマシンガンズも THE 冠も一般的な音楽ファンからすれば正統派には見えないでしょう。ただ、メタルの世界で王道云々を語っても、あまり意味はありません。単純にカッコ良い、ただそれだけで良いのです。ヴォーカルラインがどうであれ、歌詞がどうであれ、重厚感ある音が空間を支配する世界がメタルの真髄です。

一言でメタルと言っても、変声機を噛ませたような低いデスボイスからハイトーンボイスまで幅広い歌い方があり、メタルの世界だけで細分化しても20以上のジャンルに分けられる幅広い世界です。音楽の持つパワー、スピードにおいてはメタルの右にでるジャンルはありません。攻撃的な音楽の印象が強いのも間違いではありません。しかしその一方で繊細なメロディーラインで構成されるジャンルがあるのも事実です。

メタルとは洗練された音楽の極みではないでしょうか。ありとあらゆる音楽の要素を放り込んでグッと圧縮したことにより、カチカチの塊に仕上がったのがメタルだと思います。一箇所つつくと何倍になっても帰ってくる刺激要素が存在し、一瞬にして辺りを囲む。こんな欲張りな音楽ジャンルは他に類をみません。メタルファンがメタルを最強と崇める所以がここにあるのです。

メタルの地位向上を求めて

THE 冠のフロントマンである冠徹弥は「So What?」として、SEX MACHINEGUNS も 1998年から2008年まではメジャーレーベルに所属していました。今でこそインディーズレーベル所属ではありますが、彼らの音楽はジャパニーズメタルの世界において、かなりのハイレベルでメタルを表現できるアーティストであることは間違いありません。

しかし日本におけるヘビーメタルの地位は常に低空飛行状態。聴いたらカッコ良いと思う人はたくさんいるはずなのに、耳にする機会が少ないので、コアなファンが居ないと成立しないような世界となってしまっています。一方でマイナーなジャンルであるからこそ、本気のファンがたくさんいることも確かです。だからこそ低空飛行でありながらも、安定飛行を続けているのです。あとは上昇気流を待つだけ。

あの You’re the Only… で有名な小野正利が、今では Galneryus というヘビーメタルバンドでボーカルとして2009年から加入しています。このように知名度のあるアーティストであっても、バンドとして活動している実績が表に現れない難しさもあるジャンルではありますが、ファンの支えが必ずメタル地位向上の源になるので、これからもメタルファンとして、海外アーティストだけでなく日本のメタルアーティストも応援していきたいと思う次第です。

さて、話がおもいっきり脱線してしまいましたが、SEX冠ツアーファイナル@赤坂BLITZ のライブレポートへ戻りましょう。

ライブ当日の流れ

sex-kanmuri-tour-2015-akasaka-blitz02

時間内容
16:00 ~ 17:00物販先行販売
18:00 ~ 19:00整理券番号順による入場
19:00 ~ 19:10ANCHANG と冠徹弥による MC
19:10 ~ 20:05THE 冠 ステージ
20:20 ~ 21:25SEX MACINEGUNS ステージ
21:30 ~ 21:50THE 冠 & SEX MACINEGUNS ステージ

ツアーグッズの先行販売

当日に Twitter 上で告知があり、開場前にツアーTシャツの物販先行販売が行われました。早めの時間に行ったのですが、購入客はまばらな感じですぐに買うことができました。全カラー3色で各3,000円、そしてタオルが1,500円です。

さすがにツアーファイナルだけあって、欲しかったオレンジのシャツは先行販売の段階で既にLサイズが売り切れていました。どうしても欲しかったので、XLサイズを購入しましたが思いの外丁度良くて……少しパワーメタル体型になってきたのかもしれません。(笑)

Tシャツは SEX MACINEGUNS の ANCHANG と冠徹弥をモチーフにしたドクロデザインが表面で、裏がツアー日程となっています。いかにもメタルシャツらしいデザインです。裏面のフォントはもう少しイカツイ感じにして欲しかったですね。

sex-kanmuri-tour-2015-akasaka-blitz03

整理番号順による入場

開場時間になると、チケット番号のアルファベット順、数字順に一人ずつ入場する形がとられました。BLITZ の入場は正面にスケートリンクが設置されていたため、右脇の階段付近に集まっての呼出しとなりました。AチケットからCチケットまであり、Bチケット入場者が少なかったので、おそらく次のような割り当てだったと推測されます。

  • Aチケット: 先行販売チケット
  • Bチケット: バンドメンバーからの招待チケット
  • Cチケット: 一般販売チケット

僕のチケットはCの160番台だったので、かなり最後の方になります。(予定が見えずチケット購入が11月末だったこともありますが、まだ後ろに50人くらいは居たように思います。)今回のライブはチケット代4,000円に加え、入場時にドリンク代500円を支払いドリンクチケットをもらいます。

18:30頃入場し、ロッカー(300円)へ荷物を預け(ロッカーは殆ど空いていました)、早速ドリンクチケットを交換し10分前に会場入りしました。当日券が出ていた状況だったので、オールスタンディングでも余裕をもって場所を確保することができました。本当は SOLD OUT するくらい多くのファンに集まってもらいたいと思う反面、久々のメタルライブを快適な環境で観ることができたのは、それはそれで良かったと思ってしまいます。

客層は女性客の方が多い印象を受けました。年齢層は若干高めです。冠徹弥もマシンガンズも経歴は長いので、昔からのファンが今もなお足を運んでいるのでしょう。普通の主婦やパートタイマーに見えますが、ライブが始まると結構な勢いでヘッドバンギングするんですよね。アーティストのシャツに着替えているので、ライブのお客さんだと分かりますが、メタルシャツを脱いだら、赤坂BLITZの観客なのか赤坂ACTの観客なのか分かりません。

メタルファンは見かけでは判断できません。もし見分ける方法をご存知の方がいましたら、教えていただきたいです。(笑)

定刻通りのライブ開始

一分一秒でも早く観たい気持ちに応えてくれるべく、開演は定刻通り 19:00 からスタートしました。ANCHANG と冠徹弥の両名が登場です。おおよそ10分ほどの時間でしたが、このままトークライブになってしまうのではないかと思ってしまうほど、息の合った MC でした。さあ、いよいよスタートです。

THE 冠 セットリスト

  1. 帰ってきたヘビーメタル
  2. 哀罠メタル
  3. 糞野郎
  4. 断裂
  5. エビバディ炎
  6. WW3
  7. 初志冠徹
  8. 傷だらけのヘビーメタル
  9. 担がれた冠

先行はTHE冠。オープニングに相応しい「帰ってきたヘビーメタル」からのスタート。一気にメタルの世界へスイッチが入りました。生 “冠” は初めてでしたが、とにかく歌が上手いです。CD の音源通りでライブでも歌唱力が落ちない本物のボーカリストです。メタルの域を超えて評価される歌唱技術であるのは言うまでもありません。

冠徹弥の名前を知らなくても、歌声はもしかしたら聴いたことがあるかもしれません。映画版のデトロイト・メタル・シティにおけるクラウザーさんの歌声の中の人を務めています。一瞬、松山ケンイチが歌っているのかもと思ってしまいますが、オーディション選考時に声質が似ていることで選出されたようで、見事にその役割を果たしています。

ニューアルバムからの選曲

SEX冠ツアー直前の2015年9月9日に発売されたミニアルバム「鎧兜鎖血」から3曲がセットリストへ加えられていました。ミニではありますが、アルバムとしての完成度はとても高いです。メタル素人へ「これがメタルだ!」と紹介できるほど粒ぞろいの熱い楽曲が揃っています。

特にハードコアナンバーである「断裂」は、冠徹弥の歌を存分に味わえる曲の一つです。この曲を生で聴けたのは本当によかったです。HMV のサイトの本人による全曲解説によると次のように述べています。

この曲はもう曲のスピード感といい歌詞のテーマからしてもサークルモッシュ必至のグルングルン覚醒ソング。ライブの時疲れたら歌詞同様誰かにバトンを渡して回し続けて下さい。

この曲に限らず、THE冠のライブにおいては一部でモッシュが行われていました。ワンマンだともっと激しいモッシュが繰り広げられるのでしょう。モッシュ反対派ではありませんが、最前線で WOD を行うのは年齢的に正直厳しいので、ほどよく体に優しい程度に一歩引いた位置で騒がせてください。(笑)

B’z とのイベントエピソードからの…

エビバディ炎の間奏中に行われる語らいの時間(間奏ながらも笑いありのコーナーです)では、B’z vs LOUDNESS vs THE冠 として 2015年7月7日に Zepp Nanba で行われたイベント「ROCKROCK 20th ANNIVERSARY LIVE ROCK BEYOND ROCK」のエピソードが披露されました。ビッグネームとの対バンに、これは夢なのか、夢じゃないのか……

♪夢じゃないあれもこれも~

まさかの ultra soul を歌い始めました。しかもサビの部分を1コーラスしっかりと。対バン時に本人たちの前でも披露したそうで、後日 B’z のファンクラブ会報誌で歌唱力を評価されたそうです。

続く曲は新曲をやると宣言し、WW3 の重々しいリズムのドラムが始まったと思いきや……

♪Buddy you’re a boy make a big noise…

QUEEN の We Will Rock You を歌い始めるじゃありませんか。(笑) これを歌われたら観客側も応えるしかありません。

♪We will we will rock you !

楽曲中はコールしても音にかき消されてしまうので周りの声が聞き取れないくらいですが、ドラムの音だけだったので、みんなが声を揃えて大合唱している声がよく聞こえてきました。改めて WW3 のヘビーチューンが始まります。

ラスト3曲は立て続けに進み、おおよそ一時間のステージのラストは、祭り囃子のリズムを取り入れた「担がれた冠」で締めくくられました。アップテンポなリズムにのせ皆が手を左右に上げる様は、後ろ寄りから見ていて気持ちよかったです。

だからメタルはやめられない

初めての THE冠のライブでしたが、楽曲に満足するのも然ることながらトークでの笑いもあり、メタルライブなのにエンターテイメントとして成立しているのが凄いと思いました。一方通行でライブを楽しむことを訴えるアーティストと異なり、観客と一体となって何かをやろうとしている親近感を感じました。

おおよそ一時間のステージはあっと言う間の時間で、ほぼ初見のアーティストでここまで楽しめたのは初めてかもしれません。2016年は機会があれば、またライブを見に行きたいですね。2月に下北沢シェルターで1日3ステージ行うワンマンライブが開催されるそうです。3ステージ目は「スナック冠」をやるかもしれないと言っていたので、ちょっと心が揺らいでいます。

とにもかくにも、メタル最高と素直に言える素晴らしいライブでした。

後編に続く。

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このブログの運営者

NJ

元システムエンジニア。ガジェットのレビューや、パソコン・スマホ操作のノウハウをブログで発信。現在は個人事業主として独立。Web サイト運営、ポップデザインや動画制作など、パソコンでモノづくりをしている。

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