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お伊勢参りをする前に伊勢神宮の歴史を知ろう

更新日: 公開日:2015/11/29
伊勢神宮の歴史を知ろう

伊勢神宮はなぜ伊勢にあるのか?

なぜ外宮(げくう)と内宮(ないくう)の二つの正宮(しょうぐう)があるのか?

三重県伊勢市に位置する伊勢神宮の正式名称は「神宮」であり、日本最古の建築様式といわれる唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)の正宮と別宮(べつぐう)や摂社(せっしゃ)などの、のべ125社の宮社で構成されています。

お伊勢参りブームは江戸時代まで遡る

「お伊勢参り」として庶民が伊勢へ参拝するようになったのは、五街道などの交通網が発達した江戸時代の話です。「一生に一度はお伊勢参り」と言われるほどのブームになり、年間何百万人もの人が参拝に訪れたと記録されています。

今でこそ交通網が発達して車や電車で簡単に行ける場所ですが、当時は片道15日ほど掛かる道のりを命懸けで伊勢の国までたどり着いたと言われています。

お伊勢参りの歴史だけ見ると僅か 400年ほどですが、神宮としての歴史を見ると、更に 1,000年以上も古い時代の話になります。せっかくお伊勢参りをするのであれば、ただ何となく参拝するのではなく、伊勢神宮の歴史に触れ、正しい知識を持って参拝することをおすすめします。

今回は、伊勢神宮における内宮、外宮の成り立ちから説明するすので、これを機会に神宮の歴史に興味を持っていただければと思います。

伊勢神宮 内宮「皇大神宮」のはじまり

天照大御神を祀る場所

内宮こと皇大神宮(こうたいじんぐう)は、皇室の祖神で日本民族の総氏神とされている 天照大御神(あまてらすのおおみかみ)が祀られており、その歴史は2,000年以上の昔、紀元前にまで遡ります。

太陽を神格化した神であり、天岩戸(あまのいわと)へ隠れた際に、世界が真っ暗になってしまった神隠れの神話が伝えられています。天照大御神は日本書紀の記載内容から、女性の神様と考えられています。

明確な性別の記載があるわけではないが、『日本書紀』ではスサノヲに姉と呼ばれていること、アマテラスとスサノオの誓約において武装する前に髪を解き角髪に結び直す、つまり平素には男性の髪型をしていなかったことに加え、機織り部屋で仕事をすることなど女性と読み取れる記述が多いことなどから、古来より一般に女神と解されている。

天照大神 – Wikipedia

100年近く祀る場所を探してたどり着いた場所

最初、皇居に祀られていた天照大御神は、第10代崇神(すじん)天皇の時代に疫病が流行って多くの人々が亡くなったことをきっかけに、疫病を鎮めるべくして皇居の外の大和国の笠縫邑(かさぬいむら:正確な位置は不明ですが、現在の奈良県桜井市付近など諸説あり)に祀られました。

そして更に理想的な鎮座地を求め、大和から近江、美濃、尾張の国を経由して、第11代垂仁(すいにん)天皇の皇女である倭姫命(やまとひめのみこと)が伊勢の国へ辿り着いたと言われています。

その間、なんと90年です。

まともな交通手段が無かった時代でありながらも、これだけ時間を掛け祀る場所を探すほど崇められている神様なのです。この間、一時的に祀られた神社や場所は、今でも元伊勢として名前が残っています。

こうして倭姫命が辿り着いた五十鈴川上流に祠(やしろ)を建てて祀り、磯宮(いそのみや)と称したのが、現在の皇大神宮の始まりとなります。

伊勢神宮 外宮「豊受大神宮」のはじまり

豊受大御神を祀る場所

一方、外宮こと豊受大神宮(とようけだいじんぐう)に祀られている豊受大御神(とようけのおおみかみ)は、食物や穀物を司る女神です。御饌都神(みけつかみ)とも呼ばれ、御饌(みけ)、つまり神社や神棚に供えるお供え物を司る神様とされています。また、衣食住をはじめとする、ありとあらゆる産業の神様としても伝えられています。

天皇の夢に現れた天照大御神

豊受大御神が外宮に祀られたのは、天照大御神が内宮に祀られてから 500年もの時を経た第21代雄略(ゆうりゃく)天皇の時代(西暦480年辺り)になります。豊受大神宮に関する祭儀、殿舎、鎮座由来、摂社、などを記し報告した書物「止由気宮儀式帳(とゆけぐうぎしきちょう)」によると、雄略天皇の夢の中に天照大御神が現れ、次の様に伝えました。

「独りでは安心して食事もできないため、丹波の国の “豊受大御神” を御饌都神として近くに呼び寄せるように。」

こうして豊受大御神は、丹波国の比沼の真奈井原(まないはら)より、内宮からほど近い山田の原の地へ遷座しました。その時に建てられたのが豊受大神宮になります。

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このブログの運営者

NJ

東京在住の個人事業主。まとまった仕事が片付くと妻と日本中を旅しているので、その記録を残しているブログです。移動手段は車がメイン。本州であれば車中泊しながら温泉に入ったり、あちこちの神社・仏閣巡りをしています。

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