Surface Pro 9 ・ Pro 8 対応キーボード完全レビュー!Surface 歴5年の経験を踏まえ使用感や経年の様子を詳しく解説
Surface Pro 3 から Surface Pro 7 まで、共通して使えていたキーボード。しかし 2021 年に発売された Surface Pro 8 から本体サイズが変更され、キーボードも刷新。新型 Surface Pro 9 においても、新型モデルが引き続き使える仕様になっています。
僕自身は 2017 年モデル Surface Pro 5 から使い続けているユーザーで、現在は Surface Pro 9 を愛用しています。旧型モデルは今でも問題なく使えるのに、買い替えが必要になってしまったのはとても残念です。
新型キーボードの唯一のメリットは、ペン型デバイスのスリムペンが充電できるようになりました。
ここでは長年 Surface Pro シリーズを使い続けている経験者の観点も踏まえて、新型のキーボードについて製品の特徴や実際に使ってみた感想、メリット・デメリット等をレビュー形式でお送りします。
なお Surface Pro 9 本体については、こちらの記事で機能を紹介しながら細かくレビューしています。ここではキーボードに特化したレビューとしてご覧ください。
Surface Pro キーボードの特徴
Surface Pro 9、8 と Pro X で使える
旧型モデルのキーボードは、Surface Pro 7 まで利用が可能です。そして Surface Pro 9 に対応した新型のキーボードは、Surface Pro 8 そして Surface Pro X でも利用できます。
2020年発売の Surface Pro X 以降が、スリムペンの充電機能を持つ新型キーボードに対応
カラーバリエーション
現行モデルは6色のバリエーションで展開されています。そのうちの2色、サファイアとフォレストが2022年の Surface Pro 9 発売と同時に、新しくラインナップに加わりました。
ただしご覧の通り、付属の Slim ペンは全てブラック。これまでキーボードと同じカラーバリエーションがあったのに、ペンを隠す仕様になってから黒一色になってしまいました。
キーボードを単体で購入する場合、公式サイトよりも Amazon 等のネットショップで買ったほうが安く買える可能性が高いです。ただし公式ストアの キーボード同時購入キャンペーン で安く入手できる場合もあります。どちらがお得なのか、事前にチェックしておくと良いです。
新型キーボードで用意されているモデルには、スリムペン2が付属しているモデルと、ペンが付属しないモデルがあります。そして Surface Pro 9 では使えない旧型キーボードと同じカラー展開なので、購入の際は間違えないよう気をつけてください。
画像は英字配列ですが、リンク先の製品は全て日本語配列です。
キーボード表面は Alcantara を使用
Alcantara (アルカンターラ) とは、ポリエステルとポリウレタンの合成繊維です。化学繊維でありながらも感触は天然素材に近く、人工皮革スエードとも表現されます。
そして天然スエードと比べると、耐久性が高く汚れにくいのが特徴で、ベンツや BMW、そしてランボルギーニなどの高級車の内装に用いられる機会が増えてきました。スエード調の高級感が、ブランドイメージとマッチしやすいのだと思います。
またサステナビリティへの取り組みとして、Alcantara はカーボンニュートラルな製品であり、称号も得ています。
手触りの感触はスエード。フワフワでもなく、サワサワしている感じ。カバーの外側は、ずっと触ってられるくらい気持ちいいです。内側のキーボード表面は、スエード調の柔らかい感触を抑えた感じに仕上がっています。
機会があれば実物を触って欲しいです。でも経験上、実際に使ってみるまで、すぐに汚れるんじゃないか?と不安は拭えないと思いますが(笑)
僕自身、最初は見知らぬ素材に不安をいだいていました。こんなスエードみたいな生地で覆われて、すぐに汚れてしまうのではないか。ちょっとしたことでキズがついてしまうのではないか。表面がテカテカになってしまうのではないか、と。
でも先ほどの写真、右側のキーボードは僕が4年近く使い続けたキーボード(コバルトブルー)です。当時想像していたより全く汚れないし、表面が劣化したような感覚もほとんどありません。ただ安い買い物ではないので、マイクロソフトのサイトに書かれた情報を参考に、クリーニングは実施してきました。
キーボードは Surface 本体から給電される
キーボードは Surface Pro 本体下部のマグネット式コネクタで接続されます。出っ張りが溝にピタッと収まる仕組みで、かなり強力な磁力でくっつきます。ひっくり返してタブレットモードとして使っていても、全く外れる気配もなく安心して使えます。
そして冒頭で触れたように、これまでのキーボード(下)と接続するコネクタの形状が異なるため、互換性がなくなってしまいました。
キーボード自体はバッテリーを搭載していません。Surface と接続して本体側から給電されます。
なお Surface Pro 本体は Bluetooth を搭載しています。専用のキーボードでなくとも、外部のワイヤレスキーボードが使えます。例えば HHKB のようなキーボードと組み合わせたら、このような感じに。
上の画像では、外部ディスプレイに USB-C ケーブル1本で接続しています。この状態にすると USB-C ケーブルを介して、ディスプレイ側から Surface Pro 本体も給電できます。
HHKB は持ち運べるキーボードとして、一部界隈で人気があります。Surface Pro に最適なカバーがあれば、この組み合わせも悪くないかも(笑)
タイピングの感触は良い
キーボード自体は刷新されても、タイピングの感覚はこれまでと同じ。僕が4年近く使ってきた経験を踏まえても、かなりタイピングしやすいキーボードだと思っています。
重すぎず、軽すぎず。この手のフラットなキーボードにしては、きちんとストロークの深さがあり、タイピングしている感覚が指にきちんと伝わってきます。個人的には、マイクロソフトのキーボードを好んで使う人が、結構いると思っているのですがどうでしょう。
そもそもマイクロソフトは、昔からキーボードやマウスを作ってきました。早い段階でエルゴノミクスデザインを導入するなど、知る人ぞ知る周辺機器メーカーでもあるのです。こちらのエルゴノミクス形状のキーボードは僕が10年近く愛用していたもので、2006年発売のモデルです。
他のメーカーとの違いはよくわからないけど、とにかくタイピングしやすくて使い続けられる。それがマイクロソフトのキーボードだと思っています。事実 Surface Pro のキーボードでも、長時間の作業を難なくこなせるので、個人的にマイクロソフトのキーボードとは相性が良いです。
傾斜のあるキーボード
真っ平らなキーボードなのにタイピングしやすい理由の1つがこちら。ノートパソコンでは実現するのが難しい、傾斜のついたキーボードを実現。マグネットの力でモニター側を折りたたんで、高さを出す工夫がなされています。
そして手前側は、ほぼ段差ゼロ。この Surface Pro シリーズ特有のキーボードが、実は腕への負荷をかなり抑えているのではないかと思っています。
この空間により、タイピング時はわずかながらしなります。でもタイピングがしづらくなることはなく、自然と受け入れられる程度のものです。タイピング音については、この先で触れているので後ほど。
スリムペンを収納する機構
キーボードに傾斜をつけたくなければ、モニター側で折りたたまれた部分をフラットにして利用できます。そしてこの畳まれた部分に、新しいペンデバイスである、スリムペン2が収納できます。
これまで Surface Pro 本体にくっつけていたペン型デバイスをキーボードに収納することで、カバンの中などでペンを紛失する機会がなくなりました。そして収納と同時に充電が行われ、ペンのバッテリー残量を気にする必要もなくなりました。
そして一番うれしいのは、ペンの向きが左右どちらでも収納できる点です。つまり右利きでも左利きでも、自分の持ち手に合わせて収納できます。(これまでより右利きの人が取りやすくなった)
ひっくり返すとタブレット
キーボードを反対に折り返せば、Surface Pro をタブレット端末のように扱えます。この状態になると、キーを押下しても反応しません。
これまではキーボードの折り目が滑り止めの役割もあって、持ち手として丁度いい具合でした。新型はペン収納部分が当たるようになったせいか、持ちにくくなった感じがします。でも向きを反対にすると、手から滑りそうでちょっと怖い。
ペンを収納したままタブレットとして使っても、磁力できちんとくっついていました。普通に使っている限り、ペンが落ちる心配はないと思います。
閉じるだけでスリープ
キーボードをを閉じたらスリープ。普通のノートパソコンと同じ仕組みです。
このように閉じた状態になっても、キーボードがパタパタと勝手に開くことはありません。キーボードの手前側がマグネット式になっていて、本体と磁力でくっついています。
やや小さいタッチパッド
使いにくいわけじゃないけど、もうちょっと大きいほうが使いやすいのではないか。と、ちょっと物足りなさを感じるタッチパッド。パソコンの本体サイズが小さいため、ここは仕方がないところ。昨今のノートパソコンと比べると縦がやや短い。
手前側が押し込める構造です。左下を押せば左クリック、右下を押せば左クリック。押し込まずにタッチするだけで、アプリ起動・ファイル選択・画面遷移が行なえます。ファイルをドラッグする場合は押し込む必要があります。
僕は基本的にマウス派で、外出時にもマウスを持ち歩きます。ペンや指で画面を直接タッチする機会も多く、トラックパッドは予備的な位置付けで使っています。ちなみに Surface と一緒に持ち歩いているマウスがこちら。薄くて軽いの使いやすい、お気に入りのマウスです。
しかもデスクトップ端末でも同じマウスを使っているため、実質2台運用している状態。公式ストアの キーボード同時購入キャンペーン でも対象になっているマウスです。アークマウスより断然使いやすいです。
話が脱線しましたが、他にトラックパッド周りの機能をまとめるとこんな感じです。
- キー入力中に手のひらがトラックパッドに触れても反応しない
- 指2本の操作で画面スクロールできる
- 指3本の操作でアプリが切り替えられる
なおトラックパッドのコツコツ音がが具体的にどのような音なのか、こちらの動画から確認ください。旧モデルのものですが、タイピング音含めほぼ同じなので参考になると思います。
バックライトで光るキーボード
白く印字されたように見えるキートップ。ここにはバックライトが仕掛けられています。暗い部屋でも、キーが明るくなって文字が識別しやすいメリットがあります。
光量は F1 キーで3段の明るさ調整が可能。同じキーでバックライトを消した状態にもできます。
ファンクションキーとオプションキーの仕組み
最上段のファンクションキーの列は、Surface を制御するためのオプション機能が割り当てられています。左下の Fn の LED が消えていると、オプションキーとして機能します。Fn を押すと LED が点灯して、F1 ~ F12 のファンクションキーとして有効になります。
つまり Fn キーを押しながらキーを押下するのではなく、Fn キーの ON・OFF 状態を切り替える仕様です。
それぞれのファンクションキーに割り当てられた機能は次の通りです。
対象キー | オプション機能 |
---|---|
ESC | (割当なし) |
F1 | キーボードのバックライト調整 |
F2 | ボリュームをミュート |
F3 | ボリュームを下げる |
F4 | ボリュームを上げる |
F5 | 音楽の再生・停止 |
F6 | 画面を暗くする |
F7 | 画面を明るくする |
F8 | Print Screen キー機能 (スクリーンキャプチャ) |
F9 | Home キー機能 |
F10 | End キー機能 |
F11 | Page Up キー機能 |
F12 | Page Down キー機能 |
Del | Insert キー機能 (*) |
(*) Del キーのオプション機能となる Insert キーの機能に限り、Fn キーを押しながら Del キーを押さないと利用できません。利用頻度の高い Del キーだけ特別扱いにして、全体の操作性を向上させています。
良いところ・残念なところ
Surface Pro シリーズのユーザーとして4年近く Surface 専用キーボードを使ってきた僕の経験から、メリット・デメリットをまとめておきます。
良いところ・メリット
- キーボードが打ちやすい
- 肌触りの良い素材
- 板状なのに堅牢性がしっかりしている
- ペンが収納できる
キーボードは文字入力するインターフェースです。最も大切なのは、快適に文字が入力できること。確実にその要件を満たしてる Surface Pro 用キーボードは、トータルでの満足度はとても高いです。
タイピングの心地良さ、長時間使用時の快適さどちらも合格点です。
キーボードが宙に浮いて空間ができてる状態でも、上から押し込む負荷には強く、折れ曲がる心配はありません。キーボード本体はペンと合わせても、実測値で 290g しかありません。それでもしっかりとした剛性は保たれているので安心です。
残念なところ・デメリット
- 価格が高い
- 過去のモデルと互換性がない
- トラックパッドが小さい
- クリーニングのメンテンナスが手間
Surface Pro 本体を買い換えても、キーボードはそのまま使えるから値段が高くても受け入れられたのに、Surface Pro 8 になって刷新された影響で、キーボードの買い直さなくてはいけなくなりました。
ディスプレイ領域が大幅に広くなったのは望ましいことではあるものの、本体のサイズとコネクタの形状が変わって、これまでのキーボードと互換性がなくなったのは残念です。そして、まだ故障もせず快適に使えるキーボードを破棄するのは心苦しいです。(マイクロソフトさん、ぜひ買い替えキャンペーンを……)
これから新規で Surface Pro 9 を使うユーザーにとっても、価格が3万円オーバーなのは高すぎる印象を受けると思います。そのため選択肢としてペンを使わない、もしくは必要になったら時点で買うか、公式サイトの キーボード同時購入キャンペーン を利用して 20%OFF で手に入れるなど、手段は考えておいたほうが良さそうです。
そして合成繊維とはいえ、金属素材と違って簡単に汚れが拭き取れないデメリットもあります。ただ使っていると慣れてしまうので、経年による汚れはそのまま放置するユーザーも結構いるようです。
タイプカバーの気になるところ
購入時に僕が悩んだことや、購入を検討している人が抱きそうな疑問について、答えられる範囲で情報を共有しようと思います。
アルカンターラは汚れやすいのか?
繊維素材は手汗などが吸着しやすいのは事実です。汚れるのが嫌であれば、定期的にお手入れしてください。黒ずみが目立つ前に綺麗にする。そして汚れに気付いたら即対処。これが綺麗な状態を保つポイントです。皮脂汚れは放置すると洗っても落ちないといった報告も散見されます。
でも新しいキーボードを使ってみた感じでは、前のモデルより汚れが目立ちにくくなったような気がします。
メタル素材やプラスチック素材であっても、使い続ければ汚れずともテカリが生じます。形あるもの使えば必ず劣化します。我慢できなくなったら、キーボードを交換すればいい!(お金が掛かるけど。)他のノートパソコンではできないけど、 Surface Pro ならそれができます。
キーボードやマウスは消耗品と言えど、汚れただけで買い直すのはハードルが高いです……。
アルカンターラはキズついたり破れたりしない?
耐久性が高くなければ、アルカンターラのような素材は採用されません。衝撃に強く、摩耗に強い。だから高級車の内装にも用いられているのです。
1日に何度もタイプカバーを開いたり閉じたり、折り曲げたり伸ばしたり。それで4年間使った結果、何事もなく現状維持しています。購入時にイメージしていた劣化具合とは程遠く、想像以上に綺麗な状態を保てていることに驚いています。
左側が5年使ったタイプカバー(色はコバルトブルー)。右が Surface Pro 9 対応の新型キーボード(新色のサファイア)。
タイプカバーを開いたり閉じたり一日に何度も折り曲げる機会はあるものの、その程度で破損するような素材ではありません。天然繊維ではなく合成化学繊維であり、耐久性の高さがアルカンターラの売りでもあります。
乱暴に扱わなければ、アルカンターラ素材であっても破損することはないと思います。
キーの跡がモニターに残ったりしない?
僕の運用方法として、液晶保護フィルムはつけていません。そもそもスマホのように落下させるリスクはなく、タッチ操作で指紋を拭き取るのが大変になるので裸運用でした。Surface Pro の本体側は強度の高いゴリラガラスを採用し、傷つきにくい特徴があります。
実際に一番長い期間使っていた Surface Pro を確認すると、画面は綺麗な状態を保っています。持ち運びには、リュックのような圧の掛かるカバンを用いることも多々ありました。さすがに重いものを乗せないように意識していましたが、そこまで神経質になっていません。
むしろ液晶画面は、キーボードのカバーで綺麗な状態で保たれているものの、本体側の塗装はスレによって薄くなっている箇所が見受けられます。(カバンの中を頻繁に出し入れしてたので)
スリムペンは必要か?不要か?
ペンの用途を具体的にイメージできないなら、ペンなしで良いと思います。迷っているなら次の質問について考えてみてください。
タッチ式モニターだから、専用のペンがあるから、キーボードが充電ドックになっているから、ペンが必要な気分になっていませんか。スマホの画面が大きくなったら、ペン型デバイス使いますか。他のノートパソコンを買うとき、ペン型デバイスの購入も考えますか。
僕の場合は、手書きで修正を入れたり、アイデアをまとめるときにペンを使っています。キーボードより自由度が高く、イメージが膨らみやすく、僕にとっては必要なものです。
少なくとも万人が絶対に必要なアイテムではありません。
ただ後付けで買うと割高になるのがデメリットです。将来的に必要ならスリムペンがセットになったキーボードを、不要の可能性が高いなら、必要になったタイミングで買うのが一番納得できる方法かと思います。
まとめ
Surface シリーズのパソコンは、どの機種もタイピングしやすいキーボードを備えています。この専用キーボードがあって、Pro シリーズも快適なキー入力を得られています。
薄型なのに丈夫で耐久性もある。しかも使いやすい。僕自身がずっと使っていたから余計に感じることではありますが、利用するなら純正キーボードが No.1 です。高価なキーボードですが、値段相応の働きはしてくれます。間違いなくおすすめできる製品です。
ペン型デバイスのスリムペンは、人によって要否が異なります。無理して購入する必要はなく、必要であれば利用すればいいと思います。製品ラインナップとして、ペン付属のモデルと、ペンが付属していないモデルがあるので、よく確認した上で購入するようにしてください。
また公式サイトであれば、本体と同時購入で 20%OFF になるキャンペーンも実施しています。ぜひ活用してください。
もしアルカンターラ素材がどうしてもネックになって「汚れるのは嫌」「手入れが面倒」と感じるなら、メタル筐体の Surface Laptop 5 のほうが相性が良いかもしれません。こちらも細かくレビューしているので、ぜひ参考までに。
最後に Surface Pro 9 についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの完全レビューの記事を御覧ください。実際の使用感とともに、詳しく機能を紹介しています。これを一読してもらえれば、Surface Pro 9 がどのような端末なのか、具体的にイメージしやすいと思います。
以上、Surface Pro 8 専用の新しくなったキーボードの紹介&レビューでした!