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伊勢神宮におみくじが無い?!正宮はお願い事をする場所ではない?!知っておくべき神宮の常識

更新日: 公開日:2016/02/05
伊勢神宮の歴史を知ろう

伊勢神宮までお参りに来たのだから、おみくじを引こう!と息巻いて探してみるも、どこにもありません。一体、伊勢神宮の "おみくじ" はどこに行けば引けるのでしょう?

結論。

伊勢神宮におみくじはありません。

この事実を聞いて、がっかりするかもしれません。しかし、おみくじが無いのはきちんとした理由があります。存在しない経緯が分かれば、納得していただけると思います。

伊勢神宮へ参拝した日は吉日とされる

お伊勢参りが一大ブームとなったのは江戸時代にさかのぼります。五街道などの交通網が発達したお陰で、江戸の町からも伊勢神宮へ向かうことができるようになりました。「一生に一度はお伊勢参り」と良く言われますが、それも江戸のブームが起因しています。

しかし当時は、車や電車のような移動手段はありません。馬に乗ったところで延々と走り続けてはくれません。当時は片道15日ほどを掛けて伊勢の地までたどり着いたそうです。もちろん江戸に限らず、日本全国の人々が参拝しに来ます。

伊勢神宮の成り立ちについては、こちらをご覧ください。

おみくじは個人のものではなかった歴史

「おみくじ」は元来、国の重要な決定事項を取り決める際、神様の意思を占う「くじ引き」が行われていたことが起源とされています。つまり政治的な面で占いの道具として用いられ、個人の吉凶を占う道具ではなかったのです。

日本民族の総氏神とされている 天照大御神(あまてらすのおおみかみ)を祀る伊勢神宮では古き伝統を継承しており、個人を占うことは行っていないため、未だにおみくじが存在しないのです。

お伊勢参りが運気を上げる

おみくじの代わりに、次のような考え方が根本にあります。

伊勢神宮へ参拝すれば吉日。

各々の運の善し悪しに関係なく誰しもが神のご加護を得られる、皆が大吉ということです。個人を護る神様ではなく日本国全体を護るほどの大きな力を持った神様ゆえ、参拝者がそのパワーの恩恵を授かることができるのでしょう。

正宮はお願い事をする場所ではない

神様がいるのにお願いができない?こちらも伊勢神宮ならではの考え方ではないでしょうか。

伊勢神宮の原則は「私幣禁断」

私幣禁断(しへいきんだん)。つまり、個人的な願い事をしたり貢物をすることが禁止されているというものです。日本を護る神様に対し、個人的な願掛けをするのは不相応です。そのため内宮に祀られている天照大御神、外宮に祀られる豊受大神宮(とようけだいじんぐう)に対し、私利私欲の願いをすることは厳禁なのです。

正宮(しょうぐう)は、あくまでも神様に対し感謝ならびにお礼を申し上げる場所です。神様に願い事ばかりを伝え、お礼をしない人が多く見受けられますが、願いが叶ったら神様にお礼を伝えるのは基本的な礼儀です。

願い事をしていないのだからお礼をする必要が無いと思うかもしれませんが、日々平穏無事に過ごせていることへの感謝として正宮を参拝されると良いです。

お願いをするために伊勢神宮まで来たのに、個人的なお願いが出来ないなんてショックを受けた方もいるかもしれません。しかしご安心を。こちらは正宮における話であって、個人の願いを伝える場所がないわけではありません。

個人の願いは別宮(べつぐう)へ

個人的なお願い事をするのであれば、それぞれ別宮を参拝してお願いしましょう。宮内に別宮を示す立て看板も立っているので、すぐ見つかる場所にあります。

  • 内宮 : 荒祭宮(あらまつりのみや)
  • 外宮 : 多賀宮(たかのみや)

混雑している日は正宮と同様、もしくはそれ以上に別宮でも長い参拝者の列ができます。ちなみに正宮あっての別宮ですから、まずは正宮を参拝した上で別宮をお参りするのが原則です。

また感謝の意を伝えた上で、願い事をするようにしましょう。二千年以上もの歴史を持ち長年守られて続けてきた作法を、私たちも後世へきちんと伝えるべく、礼儀をわきまえた参拝を行うよう心掛けるが大切です。

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このブログの運営者

NJ

東京在住の個人事業主。まとまった仕事が片付くと妻と日本中を旅しているので、その記録を残しているブログです。移動手段は車がメイン。本州であれば車中泊しながら温泉に入ったり、あちこちの神社・仏閣巡りをしています。

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