東京オリンピック柔道で「有効」の判定がなくなった。判定基準が明確になるルール改正。過去には効果や旗判定の廃止も

更新日: 公開日:2021/07/25
TOKYO 2020 オリンピック

東京オリンピック 2020 大会。初日の柔道女子48キロ級、渡名喜風南が銀メダルを獲得し日本人選手メダル1号となり、同日の柔道男子60キロ級では髙藤直寿が金メダルに輝いた。

日本にとってはメダルの期待値が高い競技であるが、世界のレベルも上がっている。日本の柔道から世界の JUDO となり、スポーツとしての競技性も年々変化している。

その確固たる例が、度重なるルール改正だ。前回のリオオリンピックでは「効果」判定がなくなり、東京オリンピックでは「有効」判定がなくなった。

柔道の判定とその基準

一本

  • 相手を制しながら強さ速さをもって背を大きく畳につくように投げた場合
  • 寝技で20秒抑えこんだ場合
  • 寝技、関節技、絞め技などで相手が降参(参った)した場合
  • 「技あり」の判定2回で、合わせ技一本

技あり

  • 相手を制しながら投げ、「一本」の要件「背を大きく畳につく」「強さ」「速さ」のどれか一つが部分的に欠けた場合
  • 背を大きく畳につかなくても着地から間があって転がって背をついた場合
  • 背は着かないが片肩から片臀部、片臀部から片肩、腰回りを転がった場合
  • 背は着かないが両手または両肘を同時についた場合
  • 背を大きく畳につかなくても片肘または臀部または膝の着地から直ちに背を着いた場合
  • 背は着かないが片手ともう一方の肘をついた場合
  • 寝技で10秒抑えこんだ場合

きちんと技が掛かっていないと、技あり判定にならないのは変わらず。ただしそのジャッジにおいては、これまでの有効に近いレベルで判断される。技ありの寝技判定は、有効の判定とされていた10秒が採用されている。

試合判定の決め方

一本の判定が出た時点で試合終了。または指導(いわゆる警告)を3回受けると失格になる。もし試合時間4分の間に一本が出なければ、技ありポイントの多い方が勝ちとなる。このとき指導の数では判定されない。

ポイントが同じ場合、ゴールデンスコア方式となり、どちらかが一本または技ありを決めるか指導3回で失格になるまで、時間無制限の延長戦が行われる。

試合はトーナメント方式で行われ、敗者復活戦は準々決勝まで残った選手に権利が与えられる。

リオオリンピックから変更されたルール

  • 有効の判定が廃止
  • 試合時間が5分から4分に短縮
  • 失格になる指導の回数が4回から3回へ
  • 制限時間におけるポイント判定で指導の数を考慮しなくなった

前回のリオオリンピックでは指導の数で勝負が決まる試合もあり、スッキリした感じがなかった記憶があるので、これは良い方向のルール改定ではないだろうか。

ルール改正でわかりやすい柔道へ

なぜ「有効」が無くなったのか?

柔道の歴史を紐解くとその歴史は奥が深く、「柔よく剛を制す(じゅうよくごうをせいす)」の考え方から、単に力技ではなく、心身の力を有効活用し、相手を傷つけず倒す柔術の思想が取り入れられている。そして細かいレベルでの判定基準が設けられていた。

しかし国際競技となったとき、その細かい基準が分かりづらいデメリットになる。有効と効果の違いは?技ありと有効の違いは?素人目でもよくわからない判定は、国際的なスポーツとしてネックだった。

2009年には小手先な技でポイントを稼ぐ「効果」は廃止され、試合が消極的にならないよう指導についてもきちんと規定がなされた。そして2017年に「有効」が廃止。ただし「技あり」の判定基準が緩和され、実質それまでの有効が昇格したイメージだ。

IJF はルール改正の目的を、攻撃を促進し一本の価値を高めるためと説明している。

その後、一時的に「技あり」2回によるあわせ技一本が廃止されたが、すぐに復活。つまり過去の有効レベルと判定される技を2回決めれば勝ちとなる。国際的観点からルールを分かりやすくし、スピード感がある競技へと前進するため、ルールを改正したと解釈するのがすっきりするだろう。

本来は一本を取るのが良しとされる考え方があっても、競技になると勝つことが絶対になる。観戦できる競技スポーツとして、時間制限まで逃げる柔道は面白くない。攻めなければ指導、守り続けても指導、3回指導で失格。技により勝敗が決まるようにルールが改定され、格闘技としての面白さが増した。

一本か否か。有効が廃止されたことで、その判断は観戦者として分かりやすくなり、以前よりも柔道を見て楽しめるようになったのは確かだ。

旗による判定勝ちも昔の話

延長線における時間制限が廃止され、主審と副審が赤・白の旗を挙げる風景も遠い昔に感じる。

審判団の主観が色濃く出る旗判定がなくなり、勝負の結果が明確になった。時間無制限のゴールデンスコア方式は、選手への負担は大きくなるが、納得できない旗判定で勝負が決まることはなくなった。技を決めれば勝ち。これ以上わかりやすいルールはない。

ビデオ判定

誤審をなくすために、ジュリー制度と呼ばれるビデオ判定も導入されている。ジュリー(審判委員)は審判ではなく、審判の判定を判断する立場の人。審判としての権限はなく、ジュリーが確認した映像を元に、横に一緒にいる副審が最終的なジャッジをする。(畳上に副審はいない)

本大会中でもビデオ判定による試合の中断が何度か見受けられ、主審がスルーしたのを技あり判定としたり、逆に技あり判定を取り消す場面もあった。

ジュリー制度により、2000年シドニーオリンピックで篠原信一が受けたような誤審は、もう無くなるだろう。

世界の JUDO へ

そもそも知識・技量が問われる柔道の審判。難易度が高く、過去に誤審と判断されたケースもたくさんある。オリンピックという特別な場面で、いかに正確なジャッジをするか。その課題を乗り越えるために、判定方法も変化している。

日本が築き上げた柔道は武道であり、格闘技とは毛色が違う。それでもオリンピック種目として確立しつづけるには、どの国の人が観ても楽しめるスポーツであることが必要不可欠だ。

有効判定がなくなったことで、柔道の面白さが減るわけではない。勝負の決着がつきやすいルール改正により、本来の一本を目指す競技に原点回帰したと捉えることもできる。結果的にもっと楽しめる競技になったと言えるのではないか。

また東京オリンピックでは、体重別だけでなく男女混合の団体も新競技として追加された。男女混合種目は、様々な競技にも取り入れられている。時代が求める多様性の一部かもしれないが、新競技が増えるのは観戦者としても楽しみが増えて嬉しい。

選手の皆さんには、悔いの残らないよう頑張ってほしい。僕は在宅ワーカーフリーランスの権限を大いに使って、可能な限りテレビの前で応援したいと思う。

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このブログの運営者

NJ

元システムエンジニア。個人事業主として独立して Web サイト運営、ポップデザインや動画制作など、パソコンでモノづくりしています。

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