リオオリンピック柔道で「効果」の判定がなくなった?各判定の基準と「効果」判定がなくなった理由

更新日: 公開日:2016/08/08

リオデジャネイロオリンピックがついにスタート。日本との時差は12時間、夜中から朝にかけた試合が多く、寝不足な日々が悩ましいところ。

柔道の試合は初日から連日行われ、日本人選手も男女共にメダルラッシュが続いている。柔道の判定には一本、技あり、有効の三種類があり、そして4度受けると反則負けになる指導により勝負がつく。

そして一昔前には、この他に「効果(こうか)」の判定が存在していた。有効ほど技がきちんと決まっていないが、尻もちをつかせたり、大腿(だいたい)部や片方の肩がついたときに与えられる判定だ。しかし2009年のルール改正で「効果」の判定が無くなった。

TOKYO 2020 大会においては、更にルールが変わり「有効」が廃止された。詳しい情報を次のページにまとめたので、ぜひこちらの最新情報を参考にしてほしい。

年々、柔道のルールは改正が行われ、リオオリンピックにおける国際ルールは次のような判定基準となっている。

柔道の判定とその基準

判定基準
一本
  • 相手を制しながら強さ速さをもって背を大きく畳につくように投げた場合
  • 寝技で20秒抑えこんだ場合
  • 寝技、関節技、絞め技などで相手が降参(参った)した場合
  • 「技あり」の判定2回で、合わせ技一本として一本と同等の扱いとなる
技あり
  • 相手を制しながら投げ、「一本」の要件「背を大きく畳につく」「強さ」「速さ」のどれか一つが部分的に欠けた場合
  • 寝技で15秒抑えこんだ場合
有効
  • 相手を制しながら投げ、「一本」の要件「背を大きく畳につく」「強さ」「速さ」のどれか二つが部分的に欠けた場合
  • 寝技で10秒抑えこんだ場合

抑えこみの時間においても、それぞれの判定において5秒ずつ短くなっている。

試合判定の決め方

一本の判定が出た時点で試合終了。もし試合時間5分の間に一本が出なければ、技あり・有効のポイントが多い方が勝ちとなる。同点の場合、指導(いわゆる警告)の数が少ない方が勝ちとなり、指導数に差異がなければゴールデンスコア方式となり、どちらかが(指導含む)ポイントを取るまで時間無制限での延長戦となる。

なお「有効」は何本とっても「技あり」に値しないため、相手が有効で10ポイント得ていても、技あり1ポイント取れば、判定で「技あり」を得た方が優勢勝ちになる。

なぜ「効果」判定が無くなったのか?

柔道の醍醐味は「一本」を決める大技で勝負だ。「効果」狙いの小手先での戦法では、格闘技としての面白みがない。そのため、柔道の持ち味である大技で試合を決するのを目的として、効果が廃止された。

つまり小さな技で「効果」の判定を得て、残りの時間を上手く逃げ続けるような試合展開を無くすためのルールだと考えるのが妥当だ。とは言え、きちんと意思を持って攻撃を仕掛けないと「指導」の対象になる。”意思を持って” というのは、攻撃をかけたフリは指導の対象となるということ。

そもそも「効果」と「有効」の判定の差は、国際的に分かりづらいルールだった。日本の武道といった側面から世界のスポーツとして、ルールが分かりやすくなったと解釈するのが納得できるのではないか。

ルールが変わっても、大技を仕掛けるのは容易ではない。技をかけるタイミングを見誤ると、逆に隙ができて相手に攻撃されてしまう。ただ、その駆け引きが試合を制するきっかけになるので、スポーツとしての面白さは増している。

誤審を防ぐルール改正も行われている

柔道の国際試合における世紀の大誤審と言われているのが、2000年シドニーオリンピックにおける篠原信一の決勝戦。相手選手から掛けられた内股を “内股すかし” で返し、一本に値する技の掛かり方だったにも関わらず、相手の有効ポイントの判定になり、最終的にポイント差で負けたという事件だ。

最近は篠原信一もバラエティに出て、あごの出たデカくてよく喋るおじさんの地位を確立しているが、誤審により金メダルを逃した偉大な柔道家の1人なのだ。

この誤審がきっかけでビデオ判定が導入され、正しい試合判定が行えるよう環境が整備された。その後、ジュリー制度と呼ばれる審判員を監督する役割の人(ジュリー)を設けるようになった。

ジュリー制度は更に進化した

2012年のロンドンオリンピックでは、このジュリー制度により試合結果が覆った試合がある。リオオリンピックでも銅メダルを獲得した海老沢選手の試合において、ゴールデンスコア(当時は時間制限あり)で勝負が決まらず、主審・副審による旗判定で対戦相手が優勢となったものの、ジュリーによる異議により結果が覆った。

審判以外の判定者が試合結果を覆す権限を持つのは、競技としてはかなり異質だ。そこで新たにルールを改正。畳の上に主審が1人、副審はジュリーと共にビデオチェックを行いながら、審判を行う立場となった。

ジュリーの役割は「審判員の判定に介入して判断を変更させるのは例外的な事情の時だけ」と定義され、判定の訂正を行う場合は、一緒にいる副審による同意が必要になった。実際にリオオリンピックでも、試合中に少し前に掛けた技が有効判定となり、途中でポイントを与える場面が多く見受けられる。今のところ誤審も無く、競技としての判定の正確性は向上している。

旗判定が無くなると試合結果は明確に

延長戦であるゴールデンスコアが時間制限なしに変更され、主審・副審による旗判定も廃止された。試合後に赤い旗、白い旗を挙げている姿は、もう見られないのだ。

延長戦の時間制限を廃止したことで、1日で予選から決勝までこなす選手への負荷は大きい。しかし、審判の感覚による優勢度の判断が不要になり、曖昧な判定もなくなった。選手にとっては、平等で納得のいく結果が得られるほうが大事だろう。

過去には審判の選り好みでジャッジしていたと噂もあり、旗判定の正確性に疑問を抱く場面もあった。これでようやく、誰が見ても判定結果に納得できるシステムになったのではないか。

日本の柔道から世界の JUDO へ

日本が築き上げた柔道は武道であり、世界の JUDO は格闘技であるような言われ方もしている。しかし世界に普及する意義のあるスポーツとして認められ、オリンピック競技になっているのだから、ルールが進化していくことは必然だ。

今は、日本人が金メダルを取って当たり前の時代ではない。それは日本古来の武道である柔道が、世界的な競技へと地位が上がった証拠。ルール改正も、日本標準を世界標準に合わせるための過程にすぎない。

日本人選手団は金メダルを取らないとダメといった空気が漂っているが、実際に試合で頑張っている姿を見て、負けたのを批判するような気持ちにはなれない。1日で全試合を行うトーナメント方式であるがゆえ、タイミングや運に依るところもある。日本人として応援する立場である以上、代表としてオリンピックの舞台で戦った姿を評価したい。

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このブログの運営者

NJ

元システムエンジニア。個人事業主として独立して Web サイト運営、ポップデザインや動画制作など、パソコンでモノづくりしています。

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