伊勢神宮で参拝者が手をかざす石は一体なに?そこに手をかざしてはいけない?!
伊勢神宮を参拝していると、外宮・内宮どちらとも、ある場所に参拝者が集まって手をかざしている姿が見受けられます。一体何かと思って近付いてみると、しめ縄で結界が張ってある中に石がありました。ただの石と言うわけでなく、きちんと目的があって作られた形状をしています。
この特別扱いされた石は一体何なのでしょうか?参拝者はなぜ石に手をかざすのでしょうか?
正体が分からないまま参拝するのも失礼なので、外宮・内宮それぞれ同じように祀られている石について調べてみました。
伊勢神宮 外宮「三つ石」
正式名称は「川原祓所」です。
ここは昔の祓所(はらえど)です。修祓(しゅうばつ)の場所、つまりお祓いをするための場所です。現在も式年遷宮の儀式において、この場所で川原大祓が行われています。
昔はこの辺りに宮川の支流が流れていたようで、地震により地形が変わってしまったそうです。名前に “川原” と付いているのは、その名残りなのでしょう。
重要な祭典に用いる場所
「三つ石」はただ石が置いてある場所ではありません。しめ縄で結界が張られている意味をきちんと理解する必要があります。そもそもしめ縄とは、神域と現世を隔てるために用いられます。つまりこの聖域は神の領域であり、しめ縄は立入禁止の防御策ではありません。
ネット上では、手をかざすと石の放つパワーを感じ掌が温かくなるなど書かれていますが、ここは式年遷宮の儀式で利用する重要な場所であり、手をかざす行為は不適切な行為です。ましてや賽銭を投げ入れるなど以ての外です。結界の中に入ることも、直接石に触れることも許される行為ではありません。
決してパワーをもらう場所ではないので、安易にネットの噂に流されないようご注意ください。
伊勢神宮 内宮「四至神」
「四至神」の読み方は「みやのめぐりのかみ」です。
守護神が祀られる神社
四至とは神域の四方(東西南北)の境界を表し、その四方を守る神様が四至神です。内宮を悪いものから守るための守護神です。小さな石段が2段あり、そこに石神として祀られています。こちらもしめ縄により結界が張られています。一見ただの石段に見えますが、社殿を持たない神社なのです。
外宮でも同じように神楽殿の近くに四至神が祀られています。内宮と異なり広域な石畳の周りにしめ縄が張られていますが、こちらも石段があり、その一段高いところに一本の榊の木が植えられているので、行けばすぐに分かるでしょう。
こちらは名前の通り、神様が祀られている場所であり、小さい敷地ながらも神社です。ここは手をかざす場所ではなく、正宮を参拝する時と同様に 二拝二拍手一拝すべき場所 だと覚えておいてください。なおこの件について、伊勢神宮の Facebook ページでも触れられています。
周りに流されないよう信念を持つ大切さ
石に人だかり → 手をかざしている → きっとここはパワースポットだ!
僕も最初はそう思ってしまったので、周りの人にならって手をかざしてしまいました。意味も分からず手を出してしまったのは良くなかったと感じています。次回、お伊勢参りに行った際は、きちんと参拝をして来ようと思います。
ネットで調べても「手をかざすとパワーを感じるかもしれない」といった情報が溢れていて、本質が記載されていないことが多いです。伊勢神宮は参拝するだけで、そのパワーを十分に得られる場所です。何でもパワースポットだと思って安易に飛びついて、誤った情報が植え付けられないように気をつけてください。
右へならえが全て正しいこととは限りません。伊勢神宮へ参拝の際は皆さんもご注意ください。