バドミントン女子のシングルスとダブルスでサーブの方法が違うのはなぜ?
オリンピックのような国際大会でバドミントンの試合を見ていると、シングルスとダブルスでサーブの打ち方が違うことに気付く。シングルスの場合は、相手コートに向かってシャトルを高く打つロングサーブ、ダブルスではバックハンドでギリギリネットを超える程度の低くて短いショートサーブを打っている。
ルール上はシングルス・ダブルス共にどちらのサーブも有効だ。しかしなぜ試合形式によって打ち方が変わるのか?
サーブ時の有効範囲(インエリア)
まずバドミントンの基本として、シングルスとダブルスでコートのサイズが異なる。そして更には、サーブ時も有効範囲に違いがあるのが特徴だ。
シングルスサーブ時における有効範囲
シングルスの場合は、有効範囲が縦に長い。サーブを打つ時は、相手のコートの対角に向かって、ネットから一番離れたエンドライン(正式名称:バックバウンダリーライン)を目掛けて、宙に高く上がるサーブを打つのが一般的だ。
サーブ後は以下の通り、内側のサイドラインより中が有効範囲になる。
ダブルスサーブ時における有効範囲
ダブルスの場合は範囲が横に広がり、奥行きがシングルスよりも短くなるのが特徴。そして、サーブ以降はコートの全面が有効範囲になる。
バドミントンのコートに関するルール、ラインの名称やサイズについては、次のページで説明している。ぜひこちらも参考にしてほしい。
ショートサーブとロングサーブの違い
ショートサーブ(ショートサービス)
短いサービスを打つ時は、サーブ時の有効範囲のギリギリ手前側を狙う。一般的にショートサーブと呼ばれている
男子の世界大会においては、サーブの基本はシングルス・ダブルス問わず、ショートサーブが一般的だ。ロングサーブよりも確実にサーブを入れられるメリットがある。またシャトルを出来る限り低く飛ばすことで、サーブ後にいきなりスマッシュを打たれるリスクが減るため、先にサーブ側が攻撃の体制を作るには、ロングよりもショートの方がメリットが大きいと考えられている。
またロングサーブよりも、受ける側はタイミングを取るのが難しいのも特徴の1つ。
女子は男子よりも力がないため、どんどん攻めてるよりも、ラリーの中で前後左右に揺さぶりながら攻撃していくのが一般的。ダブルスの場合はコート上に2人いるためシングルスのようにいかず、ロングではなくショートで打つ機会が多くなる。
ただ、女子シングルスでも状況によってショートサーブを打つこともある。要所に使うことで、相手のタイミングをずらすのに有効であるため、戦略として効果を発揮する。
ロングサーブ(ロングサービス)
長いサービスを打つ時は、サーブ側はセンターライン寄りから相手のバックバウンダリーラインに向かって打つ。シャトルが飛ぶ距離が長く、ロングサーブと言われている。。
出来る限りネットから遠い位置に打ち、相手のポジションを後ろに下げることを目的としている。この場合、相手からスマッシュで返されても、自陣までの距離が離れていればシャトルが失速する。このためサーブを打った側が、攻撃体制を作りやすくなる。
バドミントンの場合、いかに早く良い位置で攻撃を仕掛けるかが重要だ。相手のスマッシュを受け続けている限り、こちらからスマッシュで打ち返すのは状況として難しくなる。高い位置でシャトルが戻ってくれば、オーバーハンドで打ち返せるが、これも相手の打ち損じを待つ状態に近い。
女子のシングルスではロングサーブから入ることが多いのは、スマッシュで返しても男子ほどの威力が無いため、ロングサーブから入った方が体制を整えやすくなるメリットが生まれる。
逆に男子の場合、いきなり強烈なスマッシュを決められるリスクがある。それゆえシングルスであっても、ショートサーブから入るのが一般的になった。またロングサーブは、ラインオーバーのリスクも大きいのが特徴。
おわりに
男女別の試合展開を考えると、男子はシングルス・ダブルス共にショートサーブが基本、女子はシングルスではロングサーブ、ダブルスではショートサーブが基本になる。ただ相手を揺さぶるための作戦として、この基本路線と違ったサーブを打つ機会は当然ありえる。
オリンピックのような大きな大会は、普段その競技を見ないような人からも注目を浴びる。見る側は素人だから、バドミントン経験者にとっては当たり前の戦法であっても、解説がわかりにくい場合がある。日本人選手が活躍する場面が増えた今、解説の方にはもう少し初心者向けに説明してくれると嬉しい。