個人事業主は会計ソフトを使ったほうが良いのか?僕の経験からアドバイスできることは1つだけ

個人事業主として新しく事業を始める上で、絶対に必要になるのが会計管理です。開業届の提出と同時に、売上の有無にかかわらず確定申告が必須となるため、その前提として会計の帳簿作成が義務付けられます。

単なる帳簿付け程度であれば、Excel で管理することも可能です。しかし税金面で65万円の控除を受けられる青色申告を行う場合、複式帳簿の方式で記載しなくてはいけません。

ここで複式帳簿に関する詳細説明は割愛しますが、簡単に言ってしまうとお金の出入りを「貸方」と「借方」に分けて、どこに対してお金が動いたかを明確に記す必要があります。例えば1,000円の消耗品を購入した場合、借方として消耗品費1,000円として記載し、貸方にはどこから支払ったかを明記します。

借方貸方
消耗品費1,000円現金1,000円

上記は事業資金として持っている現金から支払った場合の記述方法です。もし事業で使っている銀行振込から入金したのであれば「現金」ではなく「普通口座」となり、個人のプライベートな財布からお金を出したのであれば「事業主借」となります。

結果的には「-1,000円」であることに変わりないのですが、どこのお金が動いたのか帳簿上から把握できるようにしなくてはいけないのが、複式帳簿式の大きな特徴でもあります。

個人事業主に会計ソフトは必要か?

僕は2016年末に開業届を提出し、個人事業主となりました。青色申告の申請も行ったので、2017年3月の確定申告では青色申告にて手続きを終えました。

個人事業主の開業届と青色申告の申請書を税務署へ提出!持ち物はマイナンバーカードを忘れずに!
個人事業主として開業するにあたり、用意しなくてはいけない書類は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。そして控除が最大65万円になる青色申告で確定申告できるようにするに...

事業主として始めた期間は短いですが、夏過ぎから売上が立っているので、半年分近くの帳簿データがあります。そんな僕の経験から言えることを、まずお伝えしておきます。

個人事業主としての開業初年度は、会計ソフトに頼らないと作成すべき書類が漏れる上、会計事務作業の時間がとんでもなく掛かります。

簡単に作れるのは仕訳帳まで

冒頭で複式帳簿について触れましたが、こちらは書き方さえ身に付けてしまえば、他の仕訳についても同様に記すことができます。どのように帳簿付けをしたらいいか分からない仕訳は、ネットで調べれば貸方・借方の書き方はすぐに見つかります。

帳簿付けは日々の積み重ねなので、最初にフォーマットさえ作ってしまえば Excel で管理するのも難しくはありません。しかしここから先に面倒なことが待っているのです。

僕も始めのうちは月々の仕訳数が少なかったので Excel で管理できるだろうと高をくくっていましたが、確定申告を目前にして他の書類を作るのが大変なことに気付いたのでした。

ソフトを使わない帳簿付けの大変さ

青色申告をする場合、確定申告で提出する書類は以下の2つです。

  • 確定申告書B
  • 所得税青色申告決算書(一般用)

ただしこれは確定申告書として作らなくてはいけない書類であって、青色申告の事業者として保存が義務付けられている書類は別にあります。例えば「損益計算書」や「貸借対照表」のような決算関係の書類は必ず作成することになります。

そして、これらの決算書の元となるのが「総勘定元帳」です。

仕訳帳は全ての取引を記している帳簿なので、日々の帳簿付けは仕訳帳に記せば良いと思いがちですが、他に勘定科目毎に明細をまとめた「総勘定元帳」へも記さなくてはいけません。

この総勘定元帳へ一年間記した結果、残高として積み上がった金額を各決算書へ転記する流れになります。

もうこの段階で、会計管理の面倒臭さが垣間見えてきています。年間の仕訳明細数が少なくても、作成すべき帳簿の数が減るわけではありません。使用した勘定科目が少なければ総勘定元帳の数は減りますが、最終的に決算書にまとめる作業もあるので、僕は自前で会計管理を行うのを諦めました。

会計ソフトを使うメリットは会計処理の時間削減

会計ソフトを使うと、基本的には仕訳の入力だけで他の書類も自動的に作成してくれます。総勘定元帳や各決算書を作るために、別途情報を入力するようなことはありません。

これを自身の手で作ろうとすると数日は掛かるでしょう。ましてや書類の書き方を調べる必要があれば、確実にそれ以上の時間を要します。その上、その内容が合っているか確認する手間もあります。特に開業した初年度で帳簿付けが初めてであれば、作成すべき書類を作り忘れて、後で慌てて作成するなんてことも有り得ます。

しかし会計ソフトを利用すれば、各書類のデータは必要なフォーマットに合わせてデータをはめ込んでくれるので、あとは印刷するだけで書類作成の作業は完了するのです。

所得税青色申告決算書のために別の集計作業が必要になる

青色申告事業者として作成する書類の中には月別の売上を集計した一覧表はありません。事業主であれば月々の売上を集計するのは当たり前なので、書類の必要性に関係なく集計作業を行うと思いますが、これも会計ソフトがあれば、月々の推移表として情報を出力することができます。

ただし最終的には、確定申告における「所得税青色申告決算書」に月々の売上金額と仕入額を記さなくてはいけないので、月末時点で集計額が不要であっても集計作業は必要になります。

会計ソフトは初心者の必須アイテム

僕自身、開業当初は仕訳数も少なく Excel 表の作成も得意だったのでソフトは不要と思っていましたが、それは初心者の甘い考えでした。結果的に僕は確定申告のために会計ソフトを導入しましたが、改めてソフトへ入力する手間を考えると、最初から会計ソフトを使っておいたほうが良かったと後悔しています。

仕訳さえ入力すれば、そのデータを元に各帳票が自動的に生成されるので、書類を作成し忘れることもありません。金額の集計漏れや計算ミスも避けられるので、年間の会計処理に関する作業時間が大幅に削減できるのは、容易にうかがえるでしょう。

会計ソフトは何を使えばいいのか?

会計ソフトの必要性が分かったところで、次なる悩みは「一体どのソフトを使ったらいいのか?」ということです。まずソフトの形態は大きく2種類に分かれます。

  • パソコンにインストールするソフトウェア型
  • ネット上でブラウザアクセスするクラウド型

例えば前者の場合、代表的なソフトとして「やよい会計」が挙げられます。ソフトウェア版の会計ソフトとして、長年トップシェアを誇っています。

一方でクラウド型は、インターネット上にデータを保持するのでネットワーク環境が必須になりますが、パソコンへのインストール作業も不要になるので、導入の手間は全くありません。そしてソフト版を提供している "やよい会計" を含め、以下の3つがクラウド会計ソフトの定番になっています。

ソフトウェア型とクラウド型の違い

文章で細かく説明すると煩雑になってしまうので、それぞれの違いを一覧にまとめることにします。

ソフトウェア型クラウド型
インストール
必要

基本的に利用するパソコン台数分のインストールが必要。

不要

利用するパソコン問わず、ブラウザがあればどこからでも利用可能。

ネット環境
必要な場合あり

ソフトや利用サービスによって必須となるケースがある。

必要

常にネット上で入力するため、オフラインでは作業できない。

法改正対応
不可

場合によってはソフトウェアの更新が必要になり、新バージョンを購入しなくてはいけない。

可能

自動的に更新されるので、利用者側で作業を行う必要はない。

利用料金
安い

買い切りなので追加料金は発生しない。ただし複数台のパソコンにはインストールできず、台数分のライセンス購入を要する。

高い

月額での利用料金が発生するが、条件によって無料で使える会社もあるので、一概に高いとは言い切れない。

確定申告書作成
可能

ただしフォーマットの変更があるとソフトの更新が必要になる。

可能

フォーマット変更は自動的にクラウド側で行われる。

データ紛失
リスク
あり

パソコンが壊れたらバックアップを取得していない限り復旧できない。会社によって有料のバックアップサービスあり。

なし

クラウドサーバー上で自動バックアップしているので、サーバーが壊れても基本的に無くならない。

データ漏えい
リスク
オフライン利用であれば安全だが、オンライン端末の場合、ウイルス感染による漏洩リスクは避けられないので対策用ソフトは必要。SSL 通信をしているので通信中のリスクは無いが、サーバーからのデータ漏えいは運営会社のセキュリティー力に依る。
データ移行
必要

パソコンの変更に伴い会計データの移行作業が必要になる。

不要

パソコンが変わってもネット上で管理されるので、移行作業は不要。

インストールを要するソフトウェア型のほうが、長年運用する上では面倒であることが分かります。費用面ではソフト導入にメリットがあるように思えますが、バージョンアップに伴う購入や再インストールの作業が生じます。

滅多なことがない限り、確定申告書の提出書類のフォーマットが変更されることはないので、毎年買い換える必要はなく、古いソフトを使い続けることも可能です。一方のクラウド会計ソフトであれば、便利機能が追加されればすぐに使えるようになるメリットがあり、更新を意識する必要が全くありません。

ソフトウェア版の面倒なところはライセンス形態にもあり、有料ソフトであれば基本的に同一ライセンスで複数台にインストールすることはできません。つまり利用するパソコンが限られてしまうということです。別のパソコンへライセンスを移すには移行作業も必要になるので、簡単に端末変更できないデメリットもあります。

個人的におすすめする会計ソフトは MF クラウド

会計ソフトの選び方は人それぞれです。お金を掛けたくないのであれば、無料のソフトも存在します。ただし、無料ゆえの使い勝手の悪さもあります。有料で提供されるソフトは会計作業を楽にすることを第一優先にしているので、いかに事務作業の手間を減らすかを考慮して作られているものが多いです。

そんな中、僕が選んだのが「MFクラウド確定申告」です。僕がこのソフトを選んだ一番の理由は、MF クラウドの最大の特徴である次のサービスがあるためでした。

月間仕訳件数15件以内であれば無料で使い続けることができる!

【公式サイト】MFクラウド確定申告

つまり、事業における入出金の仕訳数が少ない限り、利用料金が発生しないのです。しかも白色・青色問わず、無料プランのまま確定申告書を作成できます。もし仕訳数が増えて処理できなくなったら、その段階で有料プランへ移行すればいいのです。月額800円、年額だと8,800円(税抜)と少しだけ安くなります。

「freee」や「やよいの青色申告」は無料で使い続けられない

他の2社の場合、無料プランの扱いがどうなっているのか確認しておきましょう。

freee無料期間は1か月のみ。それ以降も無料のまま使い続けることはできるが、データ保存期間が1ヶ月のみとなるため、限定的にしか使えない。また確定申告書の出力不可。年間費は税込10,584円。
やよいの
青色申告
無料体験期間は30日。しかし現在は1年間無料で全ての機能が利用できる。ただし次年度以降、年間費8,640円(税込)となり無料で利用することはできない。

どちらも無料での利用範囲には制限があり、有料プランへ変更することが前提になっています。もし、最初から年間費を払うつもりでいるならば、最も利用料金が安く済むのは「やよいの青色申告オンライン」です。

【公式サイト】やよいの青色申告 オンライン

クラウド型のソフトを使う場合、基本的には同じ会社のソフトを使い続けることになるでしょう。他社へ乗り換える場合、これまでの入力データをエクスポートして、新しい会計ソフトにインポートする処理が必要になります。ただ、ソフト固有の利便性を向上するためのデータは引継げないのでご注意ください。

各社、有料プランであればデータのインポート、エクスポート機能が提供されているようです。

仕訳が少ないうちは MF クラウドで十分

こればかりは事業の質にもよりますが、MF クラウドの無料の範囲「月の仕訳数15件」を超えないうちは、MF クラウドで事足りてしまいます。事業の売上が増えて、仕訳数が増えてしまった段階で、どうするか(有料プランに変更するのか)考えても良いのではないかと思います。

その時には、おそらくどの会社のクラウドソフトであっても、年間利用料を経費として計上できる余裕は十分にあるでしょう。ちなみに「MF クラウド確定申告」と「やよいの青色申告」の年間費の差は、約850円ほど MF クラウドのほうが高くなります。

MF クラウドの入力仕訳数のカウント方法は、その月に入力作業を行った件数です。例えば3月分の仕訳が一時的に増えて15件を超えても、3月に最大の15件を入力して、件数超過した仕訳を4月に入ってから入力することもできます。

経験上、無料プランで運用できる限界は、平均して月の仕訳が12件程度までです。それを超えると帳尻合わせが難しくなり、すぐに有料プランへの変更を検討しなくてはいけなくなります。

仕訳の入力は勉強と慣れ

個人事業主になって自身で会計管理をするのであれば、最低限の仕訳入力方法は身に付けておかなくてはいけません。簿記の資格は不要ですが、3級程度の知識があると調べ物をしても理解が進みます。

僕はこちらの本を手元において、暇な時に読むようにしています。カラー図解で素人の僕にも分かりやすく書かれていたのでおすすめです。

事業内容によって使わない仕訳もあるので、ネットで調べられる範囲で事足りることもありますが、知識として身に付けておいて損はありません。

あとは日々の仕訳入力をしているうちに慣れてきます。僕は帳簿付け初心者だったので最初は苦労しましたが、次第にコツをつかんで初年度の青色申告を無事に終えることができました。

基本性能は、どのクラウド会計ソフトも変わらない

例として代表的なクラウド会計ソフト3つを紹介しましたが、利用できる機能に大きな違いはありません。他にも会計ソフトは存在しますが、メジャーであればあるほど情報も多く転がっているので、できればこれら3つから選ぶことをおすすめします。

強いて違いを挙げるなら「freee」は複式帳簿を意識せずに入力できるような仕組みが用意されています。ただ複式帳簿をきちんと理解したいユーザーにとっては、利便性が仇となって使いづらいと評価されることもあるようです。一点、退会手続きに電話での本人確認が必要になるので、ご承知ください。

「やよいの青色申告」は元々パッケージソフトを販売しているので、名前を知っている安心感は大きいでしょう。ただクラウドソフトとしての運営は日が浅いので、まだ評価するのが難しいところもあります。

「MFクラウド確定申告」は、そもそも家計簿アプリ「マネーフォワード」を作った会社が運営しているので、クラウドアプリの実績は評価できるのではないでしょうか。

これら3社で悩むようであれば、お試し期間を上手く利用して1ヶ月間並行して入力してみてはいかがでしょうか。直感的に入力しやすいと感じたソフトが、自分の事業に合ったソフトだと思います。最後はクラウド前提で話を進めてしまいましたが、ソフトウェア版であれば体験版が存在します。

会計ソフトは一度使ってしまえば長い付き合いになりますので、ここは即決せず、慎重に判断していただければと思います。

以上、個人事業主の会計ソフトの利用に関するお話でした。

Name :
気力・体力勝負なシステム業界のエンジニアを経て、個人事業主として独立。Web サイト運営、動画制作など活動の場を広げています。目指すところへの道のりは険しいですが、自分が自分らしくあるために、一歩ずつ進んでいきます。

このブログでは、困ってたどり着いた人に、分かりやすく答えを提供できるように心掛けています。更新情報は、Twitter や Facebook ページを参照ください。よろしければフォローお待ちしています。

プロフィール詳細 Twitter @_NJ69_
Facebook ページ NJ-CLUCKER シェア
このブログが役に立ったら
「いいね!」お願いします
PAGE TOP ↑