個人事業主の僕が会計ソフトにマネーフォワードを選んだ理由

個人事業主になったら確定申告をしなくてはいけない。
それをわかっていても、初年度は誰もが、提出すべき書類として何を揃えたらいいのか全く分からない状態からスタートします。サラリーマン時代、確定申告と無縁だった生活から一変して、会計管理も必要になる個人事業主。
何をどうしたらいいのか、迷うこともたくさんありました。そんな帳簿付け素人の僕が、きちんと会計管理が行えるようになり、最終的に確定申告を終えるまで、どのような道のりを辿ってきたのか経験談を交えてご紹介していきます。
必要な知識「簿記3級」すら知らない状態からスタート
会社をやめてフリーランスになると決めて、最初に行動したのは開業届と青色申告申請書の提出でした。事業の方向性だけ定めて、今後どう展開するかは開業してから考えようと思い、とにかく第一歩を踏み出すことを最優先として始動したのです。
会計の知識を身につけるのが先か開業届を提出するのが先か、そんなことを迷っていたら独立なんてやっていけません。とにかく行動するのが大切で、事務処理は必要に応じて後で知識を身に付ければ良いのです。
ただ会計処理に関しては、困ったときにどうすべきか方針を立てておくことも大切です。開業時に僕が把握していた、帳簿付けに関する唯一の情報。それは「個人事業主の会計は簿記3級レベルが必要」ということでした。サラリーマン上がりの僕には、当然そんな知識はありません。
だから最初に必要最低限の知識を身につけるため、空き時間を利用して簿記の勉強を同時進行でスタートしました。
簿記を勉強する目的は資格ではなく実践で使うため
簿記の勉強をする上で目指したゴールは、資格取得ではなく「自分自身で帳簿付けがきちんとできること」です。簿記3級の資格があってもフリーランスの活動にプラスになることもなく、社会的評価の高い資格でもないため、自身の活動を支えられる知識を習得するのを目的としました。
そこで購入したのが、こちらの簿記3級の本です。帳簿の基礎を学ぶにはぴったりの本でした。カラー図解により、勉強することに抵抗がある人でも読みやすい構成で勉強しやすかったです。
知識を得ても帳簿付けは難しい
売上が立った!経費を使った!いざ帳簿作りに着手!と思ったら、想像以上に苦労の連続でした。
会計管理における最終的な成果物は、年度ごとの確定申告に向けた書類や、青色申告の事業者として保管すべき書類です。その内容に応じて所得税を支払ったり、市民税や国民保険の額が決まるため、家計簿のような簡易的なリストでは賄うことができません。
開業当初は Excel を使えば簡単に管理できるだろうと高をくくっていましたが、すぐにその考えが甘かったことを思い知らされます。僕自身、元々はシステムエンジニアの経歴を持つので、Excel の集計システムを作るのは手慣れたものです。それでも確定申告に向けたデータを集計したり、必要な帳簿を出力する仕組みを作るのは難儀でした。
「自前で会計システムを作ってる場合じゃない」
実務に影響が出ることを懸念して、早々に方針転換を決めました。その結果、辿り着いたのが会計ソフトの利用です。
会計ソフトはどれが良いのか分からない問題発生
いざ「会計ソフト」を探そうと思っても、数が多くてお手上げ状態です。1つずつ利便性を検証している余裕はありません。そこでシステムエンジニアの経験から、将来を見据えて「どんな環境でも使いやすい!」と言える理想のアプリ要件をまとめることから始めました。
使い勝手の良い会計ソフトの特徴
- 仕訳入力だけで確定申告書の書類が簡単に作れる
- パソコンが壊れてもデータが紛失しない
- パソコンを買い替えても移行が簡単
- 銀行口座と連携してデータを自動で取得
- アプリの使い方の情報が豊富にある
- 利用者が多く信頼性が高い
- サポート体制がしっかりしている
- 法律の変更に柔軟に対応
税制改正など、社会の変化に即座に対応するのは絶対欠かせない要件ではありますが、僕が最も重要視しているのはデータ紛失のリスクを限りなくゼロにすることです。データを管理するツールなのに、データが無くなってしまったら元も子もありません。
これらの条件を加味した時点で、インストール型のアプリは選択肢から除外されました。無論、リスクの高い無料アプリもこの段階で排除しています。
すべての条件を満たすクラウド会計ソフト
信頼性や安全性の面から、クラウドサービスに対する抵抗は少しながらあります。しかし iCloud、Google Drive、マイクロソフトの OneDrive のように、様々なサービスが世の中に普及しています。時代の流れは、有料のクラウド環境を利用するのが一般になりつつあります。
そしてもちろん、クラウドに対応した会計ソフトも存在します。定番なのが、次の大手三社によるクラウド会計ソフトです。
パソコンにアプリをインストールする必要がなく、インターネットが閲覧できる環境があれば、ブラウザから簡単に利用できるのが、クラウドソフトの最大のメリットです。
そして現在、僕が使っているソフトは マネーフォワードクラウド確定申告 です。
マネーフォワードクラウドを選んだ経緯
個人事業主として始動した当初、帳簿の仕訳(明細)数はかなり少なく、前述の通り Excel 管理できるだろうと安直に考えていました。しかしすぐに、勘定科目別の帳簿や現金の出納帳、固定資産の管理など、仕訳が少なくても作成すべき帳簿の数が多すぎることを知って、これは会計ソフトに頼らざるを得ないと確信しました。
そしてこんな僕のような、個人事業主初心者にピッタリだったのがマネーフォワードクラウドでした。
年間50件以内であれば無料
事業の会計に関わる重要なアプリであり、これから先何年もお世話になるアプリなので、口コミで適当に選んでしまうのは厳禁です。僕の場合、無料体験版を利用して、納得したら本契約することにしました。
すると、マネーフォワードクラウドだけ無料で利用できる範囲が、自分の当時の状況にぴったりだったのです。
マネーフォワード | 仕訳の内容が年間50件までであれば、無料のまま利用できる。確定申告のメニューは利用できない。年間費は税込12,936円。 |
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freee | 無料期間は1か月のみ。それ以降も無料のまま使い続けることはできるが、データ保存期間が1ヶ月のみとなるため、限定的にしか使えない。確定申告書の出力不可。年間費は税込12,936円。 |
やよいの青色申告 | セルフプラン(サポートなし)は初年度無料、ベーシックプランであれば初年度税込み6,600円で利用できる。翌年度以降の年間費は、それぞれ税込み8,800円、13,200円。 |
大事な会計データであるため、ずっと無料で使うことは想定していません。そのため必要になったときに有料へ切替えるべく、マネーフォワードを選択しました。
【追記】最初に契約してから既に5年が経過。今でもマネーフォワードは、使いやすい会計ソフトだと思っています。3社とも基本性能はほぼ同じ。単純にコストを抑えたいなら、やよいの青色申告 の有料プランを最初から契約して、1年無料で使うのが賢い選択だと思います。
ただ厳しいことを言うと、個人事業主として開業しても必ず成功するとは限りません。いつまで経っても売上が立たず、仕訳件数が少ないまま確定申告を迎えるケースもあり得ます。それが1年以上続く可能性だって、十分に考えられます。
マネーフォワードを使う利点として、年間50件の無料プランの中でデータの集計が行えれば、確定申告は国税庁の 確定申告作成コーナー を利用すれば済むので実質0円です。
余計な経費を使いたくなかった当時の僕
開業したばかりの僕は、とにかく無駄な経費を1円も払いたくない状態でした。
そのため「売上が無いうちは、マネーフォワードクラウドを使えばずっと無料でやりくりできるのではないか?」と安易に考えていたのです。(結構本気で、1年以上売上が作れないかもしれないと思っていたので。)
時間に余裕があるなら、無料体験の範囲で各社のソフトを並行利用して、自分に合うものを見つける方法もありだと思います。
使い勝手・満足度ともに◎二重丸
前述で僕が列挙した条件「使い勝手の良い会計ソフトの特徴」をマネーフォワードクラウド確定申告は全て満たしています。
元システムエンジニアの職業病から、初めて触れるソフトはどこかしら難癖を付けたくなるのですが、マネーフォワードクラウドは初見でも使いやすくて驚いた記憶があります。Web 系アプリなのに処理の重さを感じることもなく、直感的にメニューから選んで操作できるので、入力操作はすぐに慣れました。
利用当初は、モバイル対応していないのが唯一のマイナスポイントでした。しかし今はスマホアプリも用意されているので、とても快適に使えています。スマホアプリとマイナンバーカードで、e-Tax が簡単に送信できるのが便利です!
機能拡張など、毎年パワーアップして使いやすくなっている点は評価ポイントです。2022年度はインボイス制度対応で、ついに消費税の申請にも対応しました。
最終的に有料プランに移行しました!
僕にとっては嬉しい誤算なのですが、想定していたよりも早く売上の仕訳が増え始めました。そして半年足らずで、無料プランでやりくりするのは不可能だと判断せざるを得なくなったのです。
とは言え、この頃の仕訳入力はまだまだ素人レベル。ただでさえ、仕訳の入力内容が正しいのか不安が付きまとっている状態です。このまま他の会計ソフトに移行して、最初から操作方法を学ぶ精神的余裕もありませんでした。
事業を続ける上で、必然となる有料プランへの移行。有料化に抵抗はあったものの、自身の成長に必要な経費として受け入れることにしました。
会計処理に慣れるまでは、最初に使ったソフトをそのまま使い続けるのが最も効率が良いと思います。
初めての確定申告書の作成に掛かった時間
マネーフォワードクラウドでは初心者でも段階を追って確定申告できるよう、初期設定から確定申告まで、手順が示されたメニューが表示されています。あとはこの流れに従えば、確定申告できます。
僕がマネーフォワードクラウド経由で初めて確定申告をしたときは、実質1月末から仕訳の見直しを行い、約3週間程で一通りの書類が揃えられました。
おそらく何も問題なければ一瞬で終わります。僕の場合、仕訳の入力内容が正しいか確認したり、社会保険料控除や扶養控除といった、当時は慣れない用語を理解しながら入力したので時間が掛かりました。
それでも1ヶ月掛からず終えられたので安心しました。これもクラウド会計ソフトのおかげです。そして翌年以降は、もっと速く処理できるようになったので、やはり会計処理は慣れていくしかないと思います。
もう少しマネーフォワードクラウドについて知りたい方のために
僕自身はこれまで5期分の確定申告をマネーフォワードクラウドにて行っています。そして現在も継続して利用中です。具体的な使用感について、僕自身が使ってきて実感したことを次のページでまとめているので、参考にしてください。
また実際に便利だと感じている機能や、仕訳入力が楽になったと実感している機能を、次のページでいくつか紹介しています。こちらも是非あわせてご覧ください。
以上、僕が初めての確定申告書作成を終えるまでの過程と、利用した会計ソフト「マネーフォワードクラウド確定申告」のご紹介でした。