カーリングのカマーランドとは?どのようなショットなのかイラストで解説
カーリングの試合を見ていると、解説の人が「これはカマーランドですね」と説明してくれるものの、頭の中にハテナ?が浮かぶ人は多いはず。
カマーランドって何だろう?
実はそれ、Come around (カム・アラウンド) と言ってます。ストーンの投げ方の一種で、具体的にどのようなショットなのか、わかりやすくイラスト付きで解説していきます。
カマーランドとは?
正しい名前は「カム・アラウンド」。ガードストーンの後ろに回り込み、投げた石をガードで隠すショット。テイクアウトされにくくするのを目的で投じられる。
ストーンに回り込むように投げるといっても、ストーンを投げるプレイヤー(デリバリー)の技量だけでなく、進路を曲げるスイープ(ブラシでゴシゴシする)技術も必要なので、チーム力が試される高等なテクニックだったりします。
両チーム合わせて最初の5投(先行3投、後攻2投)が終わるまでは、フリーガードゾーンの相手のストーンをテイクアウトできないルールがあります。そのルールを利用して予めガードストーンを置き、後からカム・アラウンドでハウス内に得点源となるストーンを配置するというわけです。
ちょっと待って!
ここまでの説明で出てきた専門用語についても、せっかくなのでイラストで解説していきます。
カーリング用語を簡単解説
ハウスとその大きさ
カーリングの石が点数の対象になる、赤や青の丸が書かれたエリア。直径はそれぞれ内側から1フィート、4フィート、8フィート、12フィート。メートル換算で 30 センチ、1.22 メートル、2.44 メートル、3.66 メートル。
中央の一番小さい 30cm の円を、ボタンと呼びます。世界カーリング連盟の公式 Twitter では、北京オリンピック中国戦における藤澤五月さんのプレイの凄さを、次のように表しています。
When you draw to the button, AROUND A STONE TOP OF THE BUTTON! 😯 @japan_curling #Curling | #Beijing2022 pic.twitter.com/TSD5zYkeA2
— World Curling (@worldcurling) February 14, 2022
あなたが中央にストーンを投げても、そのすぐ手前にストーンを置かれちゃうよ!と(笑)
藤澤さんが持つ正確にストーン投げる技術は、世界でもトップレベルです。
フリーガードゾーン
投げたストーンが有効になるホッグラインから、中央のティーラインまでの領域のうちハウスを含まない部分。両チーム交互に投げて、合計5投目(先行の3投目)までは、このフリーガードゾーン内のストーンを外に出してはいけないルール。
もしプレイエリア外にストーンを押し出してしまった場合は、元の場所に戻す。このルールは「ファイブロック」と言われている。
エンドの最初にストーンを投げるプレイヤーがハウス手前にストーンを置いても、相手からすぐに押し出されないのは、このルールがあるため。
ガードストーン
ハウス中にあるストーンを守る(ガードする)ために、ハウスの手前に留まるように置かれたストーン。ガードストーンを置かれると、相手はハウス内のストーンを直接狙いづらくなる。つまりテイクアウトするのが難しくなる。
ハウス内にストーンがなくても、作戦として事前にガードストーンが置かれることもあります。エンドの最初に投げるプレイヤーが、ハウスの手前に留まるように投げるのは戦略の1つです。
テイクアウト
ハウス内にある得原点のストーンを、ハウスの外に弾き出すショット。2つ弾き出したらダブル・テイクアウト。3つ弾き出したらトリプル・テイクアウト。
北京オリンピック女子予選リーグ、デンマーク戦の第10エンド最後のスローで、藤沢五月 選手がダブルテイクアウトで3点取って大逆転したシーンは、何度見てもゾクゾクします。
【#北京オリンピック】速報#カーリング 女子予選リーグ
日本🇯🇵8-7🇩🇰デンマーク2点ビハインドで迎えた第10エンドのラストーン。🇯🇵#藤澤五月 選手がダブルテイクアウトしつつ3点を奪うミラクルショットを決め大逆転で2勝目を挙げました。#Beijing2022#gorinjp🥌動画⇒https://t.co/9xw3DWCW3n pic.twitter.com/xFj91m5vSn
— gorin.jp (@gorinjp) February 12, 2022
相手のガードストーンも活用するカマーランド
ガードストーンの後ろに配置するストーンは、なかなかテイクアウトするのが難しい。通常ならば自陣のストーンをカードにするケースが多いですが、試合状況によっては相手のストーンをガードに使うこともあります。
左のように黄色のストーンを配置すると、相手にテイクアウトされやすいですが、右のように黄色のストーンを配置すると、後ろの赤ストーンによりテイクアウトされにくくなります。
このように状況に応じて、自チームのストーンや相手のストーンを活用して、特典につなげていくのがカーリングの醍醐味でもあります。もうこれで解説でカマーランドと言われても、カム・アラウンドに聞こえてくると思います。
ちなみに、カーリングの解説者は絶対カマーランドって言ってるけど、アナウンサーはきちんとカム・アラウンドと言ってます。ちょっと耳を澄ませて聞いてみてください。
以上、カマーランドの本当の正体でした。