HDD 5400rpm と 7200rpm の違い|目的に合わせた選び方

ハードディスクの選び方のポイントは2つ。まずは目的に合った容量を選ぶこと。そして用途に応じて、ディスクの回転数を考慮すること。
ハードディスクの仕様として、回転数が5,400回転と7,200回転の2種類が存在する。この回転数を示す単位が rpm であり、1分間あたりの回転数 を表している。この回転数の違いによる特徴と、用途に応じたおすすめのHDDの選び方を解説していく。
その前に、重要なことを1つ。

全世界でハードディスクを作っているメーカーは、基本的にウェスタンデジタル (WD)・Seagate・TOSHIBA の3社のみ。一部、中国企業が存在するが、購入するなら保証がしっかりしてるこれら3社から選ぶようにしましょう!
ハードディスク (HDD) と SSD の違い
HDD | SSD | |
---|---|---|
データアクセスまでの時間 | 遅い | 超高速 |
利用時の発熱量 | 多い | 少ない |
静音性 | やや静か | 無音 |
耐久性 | 低い | 高い |
消費電力量 | 大きい | 小さい |
容量単価 | 安い | 高い |
値段 | 安い | 高い |
HDDは大容量データ保存に向いている。SSDは高速データ処理に向いている。4TB もしくは 6TB 以上の容量が必要な場合は、HDD が圧倒的に低コストで導入できる。高速データ処理が必要な場合は、コストを掛けても SSD を選ぶのが現在の主流。
1TB 程度であれば、SSD も大きく値段は変わらない。ただし 2TB 以上になると、HDD のコスパが一気に上がるため、メディアなどの大きなデータは HDD に保存する傾向に変わりはない。
今は SSD の選択も選択肢の1つになった
SSD の価格は 1TB で1万円台、2TB で2万円ちょっと。一昔前に比べると、かなり価格が落ちつている。今の時代は、必ずしも HDD である必要がなく、2TB ~ 4TB くらいの容量でも SSD が選べるようになった。
僕が使っているのは、Samsung の EVO シリーズ の SATA SSD だが、2024年末辺りから大容量 M.2 SSD がかなり安くなっている。M.2 モデルを購入するなら、良いタイミングかもしれない。
最大書込速度5,500MB/秒
TBW1,200TBW
保証期間5年
そうは言っても、コストを抑えるなら、やっぱりハードディスクに軍配があがる。ここでは HDD を求めている人への情報をまとめているため、こちらは参考レベルとして考えて欲しい。
ではここから、本題に移る。
HDD 回転数 5400rpm と 7200rpm の違いと特徴
5,400rpm | 7,200rpm | |
---|---|---|
データアクセスまでの時間 | 遅い | 速い |
利用時の発熱量 | 少ない | 多い |
静音性 | 静か | うるさい |
消費電力量 | 小さい | 大きい |
値段 | 安い | 高い |
比較のため極端な表現をしたものの、速度・発熱量・静音性においては、そこまで大差はない。ただし電力に関しては、7,200回転のほうが5,200回転の倍近く電力を消費する。
これらを踏まえた上で、それぞれ次のようなメリット・デメリットがある。
5,400rpm のメリット・デメリット
- 大容量でも価格が安い
- 消費電力が少ない
- 複数からのアクセス時に処理が遅くなりやすい
- 大容量データの頻繁なアクセスに不向き
7,200rpm のメリット・デメリット
- 処理速度が速い
- データ転送速度が速い
- 消費電力が大きい
- 大容量は価格が高め
それでは、用途に応じたハードディスクの選び方を解説していく。
用途に合わせたハードディスクの選び方
起動ディスクでの利用
起動ディスクとは、パソコンの電源を入れた時に最初にアクセスする場所。Windows であれば OS をインストールする C ドライブが該当する。

ただし現在は、高速なSSDを起動ディスクに使うのが主流です。HDD と比べ物にならない圧倒的な速度を持つので、コストを抑える目的で HDD を選ぶのはおすすめできません。
起動ドライブは速いほうが望ましい。ただし今は SSD が主流なので HDD を選ぶメリットはない
データ用ドライブとしての利用
起動ディスクは速度が重要である一方、データ用で速度が重要視されるのは一部のケースのみ。
僕の環境では、データ用に 5,400rpm 3TB と 6TB のハードディスクを積んでいる。動画ファイルや写真の RAW ファイル、音楽などの大容量メディアファイルは全てハードディスクに保存している。
一度アプリで読み込んで、メモリ上に展開してしまえば、5,400回転の HDD を使っていても動作が遅く感じることはない。最初の読み込みに時間が掛かって、困るようなこともない。
- 容量単価が安い
- 頻繁に利用するデータを格納しなければ、安い HDD で十分
ただし個人利用であれば、7,200rpm の 2TB モデルあたりが1万円程度と安く入手できるため、検討の余地はある。
7,200回転の利用が望ましいデータがある
ファイルサイズが大きいデータを扱う場合に限っては、7,200rpm のハードディスクを利用するのが望ましい場合がある。
代表的なデータとしては、動画ファイルのように数 GB の容量になるもの。数年前までは Adobe の 動画編集ソフト Premiere Pro の必要システム構成に、7,200rpm のハードディスクと明記されていた。

しかしこちらも、現在は SSD 推奨になっています。つまり高速な HDD を用意するよりも、SSD を使いましょうという話です。
通常のデータ保存であれば 5,400 回転で十分。ただし、大容量データを扱う機会が多いのであれば 7,200 回転の選択肢もあり。でも処理速度を重視するなら、SSD を選ぶのが現在の主流。
なお冒頭に紹介した、WD、Seagate、TOSHIBA 3社の製品における性能差はほぼ一緒。同じ性能であれば、そのとき安く買えるものを選ぶのが賢い買い方だ。

僕は個人的な好みで、WD 製品を買うことが多いです。東芝は法人向けのため、入手性が悪いです。
簡易サーバーとしての利用
あくまでも個人用に説明しているので、本格的なサーバー用ではなく簡易サーバーとしての想定でお話しさせていただく。こちらもデータ用ドライブと考え方は同じで、RAID を組む場合なども含め、速さを求める必要はない。
ただし、1台のサーバーに対して複数人でアクセスするような状況であるなら、より高速なハードディスクを選ぶべき。
そして24時間365日起動しっぱなしのサーバーを構成する場合は、回転数よりもハードディスクの耐久性 の考慮が求められる。例えば NAS(ネットワーク上に接続される HDD)であれば、複数のハードディスクで構成されるため、ディスクの振動によるアクセス低下を招かないように設計されている HDD が適している。

この WD Red はサーバー用の HDD で、大容量モデルもあります。NAS を構築するなら、今はこちらが人気でおすすめ!
重要なのは、ハードディスクの回転数よりも、耐久性で選ぶ必要がある。
テレビの録画用
送られてくる映像データに対して、ハードディスク側で処理できる速度を持っていれば、書き込み遅延が起こることはない。かなり大雑把に計算しても、5,400rpm の HDD があれば録画可能だとわかる。
地上波デジタル放送 | 20Mbps 以下 |
---|---|
5,400rpm HDD の書込み速度 | 約 60Mbps |
7,200prm HDD の書込み速度 | 約 100Mbps |
テレビ録画可能な外付けハードディスクとして売られている製品は、内部の HDD に関する情報が非公開のため、7,200rpm のハードディスクが使われている場合もある。
24時間連続録画できるような信頼性の高い製品も安く入手できることから、どこのメーカーの製品を選んでも性能差はほぼ横並び。テレビ用であれば 2TB の容量で十分。
なお HDD を単体で購入して、このようなケースに入れれば、自作の外付け HDD を作れる。しかし今は、出来合いの Buffalo 製品を買ったほうが安く済む。
内に入れる HDD は、前述のデータ用に利用するハードディスクで大丈夫です。
テレビ録画用として使う場合、上記で紹介したような AC アダプターで給電できるケースでないと、電力不足になる場合がある。
テレビ録画用は外付けハードディスクはバッファロー製品で OK!自作することも可能
まとめ
ハードディスクを選ぶ目的が明確になっていると、選ぶべき回転数も自ずと絞られる。7,200rpm のほうが性能面で良いのは確かであっても、コストや消費電力の面を考えると 5,200rpm の HDD でも十分であることが多い。
少しでも速いほうが良いと考えるなら 7,200rpm が望ましい。ただ、高速化が目的なら、今は SSD が主流ということも忘れてはいけない。
- 起動ディスクにはSSD
- データ用ドライブには容量単価の安い 5,400rpm HDD
- 動画編集などは 7,200rpm HDD or SSD を検討
- サーバー用途では耐久性の高いモデルを選択
以上、ハードディスクの 5400rpm と 7200rpm の違いと、目的に合わせた HDD の選び方でした。