初心者向けミラーレス一眼レフ用SDカードの選び方から、おすすめ SD カードの紹介まで!性能に合わせたコスパの高いカード選び
Canon EOS シリーズのような通常の一眼レフカメラから、Panasonic HG5 や Sony α7Ⅲ といったミラーレスカメラまで、昨今のデジカメ市場は高性能かつ高画質なのが当たり前になってきています。
その背景にはスマートフォンのカメラ性能の向上が大きく影響していて、スマートフォンを超える能力を持つカメラはどうしても高額になってしまうのです。せっかく良いカメラを手に入れたら、それに見合った性能の SD カードを利用することで、カメラの性能を最大限に活かせるようになります。
一概に SD カードと言っても、値段はピンキリです。この価格の差が SD カードの性能差だとお考えください。例えば SD カードの読み込み速度や書き込み速度が遅いものは、それだけ値段が安くなります。しかし速度が遅い SD カードを使うと次のようなデメリットがあります。
- カメラの連写性能を有効活用できない
- デジカメからパソコンへの移動に時間が掛かる
特にコンパクトデジカメや一眼レフ、ミラーレス一眼のカメラは、動画も綺麗に撮影できる機種が増えてきました。せっかく高画質で撮影できるカメラを持っているのに、SD カードが能力不足だと、動画を撮影してもカクカクした映像になってしまうことがあります。
そこで用途に応じて適切な SD カードを選べるように、カメラの能力に合わせた おすすめの SD カードを紹介していきます。
その前に、SD カードの種類や性能について簡単に説明しておきましょう。
SD カードの種類
携帯電話やスマートフォンで使われる miniSD や microSD といった大きさが違う話は割愛しますが、昔から今に至るまで、SD カードの規格は次のように進化を遂げてきました。
規格 | ロゴ | 特徴 |
---|---|---|
SD | 最大容量 2GB まで。FAT 12 or 16 に対応。 | |
SDHC | 最大容量 32GB まで。FAT32 に対応。 | |
SDXC | 最大容量 2TB まで。exFAT に対応。 |
性能が高い順に SDXC > SDHC > SD となります。
2010年以降に発売されたデジカメは、ほぼ SDXC に対応していると考えて良いです。動画撮影をするならば SDXC でないと長時間撮影できないので、お気をつけください。
SD カードの転送速度の種類
SD カードの規格に応じて最大容量が異なる点は理解いただけたかと思いますが、転送する速度に関しては スピードクラスと呼ばれる定義が存在します。これは最低限の転送速度を保証するものです。
スピードクラスによる転送速度の違い
クラス | ロゴ | 最低保証レート | 最大転送速度 |
---|---|---|---|
Class 2 | 2MB/秒 | 25MB/秒 | |
Class 4 | 4MB/秒 | 25MB/秒 | |
Class 6 | 6MB/秒 | 25MB/秒 | |
Class 10 | 10MB/秒 | 25MB/秒 |
※ ロゴは左横に Class と書かれている場合もあります。
最低保証レートの値が大きい方が、転送速度が速い SD カードになります。理論上の最大速度は 25MB/秒 となります。この値はスピードクラスに依存しませんが、あくまで理論値なので最低保証レート相応と考えるのが無難です。
このクラス値に関して理解していない人が多く、格安な SD カードを買ってしまい後悔してしまう原因の1つとなっています。例えば家電量販店で、ワゴンセールで売られているような激安 SD カードがありますが、大半が Class 10 に満たないものばかりです。
デジカメ用に使うのであれば、安物 SD カードは買わないようにしましょう。
新規格 UHS について
SD カードには上記スピードクラスとは別に、新しい高速転送の規格である「UHS」(Ultra High Speed)が併記されていることがあります。
UHS には UHS-I と UHS-II が定義されていて、これは最大転送速度を表しています。
UHS-I | UHS-II | |
---|---|---|
最大転送速度 | 104MB/秒 | 312MB/秒 |
2017年現在 UHS-I が SD カードの定番となっています。
更には UHS クラス(ウルトラハイスピードクラス)と呼ばれる最低保証レートも定義されており、実際に SD カード上には、ご覧の様にロゴと共に各種マークが載せられています。
前述のスピードクラスと UHS クラスが併記されているのは、機器が UHS に対応していない場合は、スピードクラス側の規格で読み書きが行われるためです。
UHS クラスによる転送速度の違い
UHS クラスはスピードクラスの上位クラスとなり、“1” もしくは “3” の2つが定義されています。最低保証レート、最大転送速度は次の通りです。
クラス | ロゴ | 最低保証レート | 最大転送速度 | |
---|---|---|---|---|
UHS-I | UHS-II | |||
1 | 10MB/秒 | 104MB/秒 | 312MB/秒 | |
3 | 30MB/秒 | 104MB/秒 | 312MB/秒 |
なお、UHS-I の記載があっても、UHS クラスが明記されていない SD カードもあります。この場合は UHS クラス1の扱いとなるので、覚えておいてください。
前段が長くなりましたが、以上の性能に関する予備知識をふまえ、おすすめの SD カードを紹介していきます。
デジカメに最適な おすすめ SD カード
コンパクトデジカメやデジタル一眼レフカメラ、ミラーレス一眼レフで利用する場合、フルハイビジョン(Full HD)での動画撮影や、高速連写で撮影するのであれば、UHS-I に対応して、かつ高速な SD カードが必要になります。また 4K 動画を撮影するなら、更に高速な UHS クラス3の速度が求められます。
下位の性能である SD カードを使っても撮影することはできます。ただ、カメラが持つ性能を活かせなくなることがあるので、出来れば性能重視で選択していただきたいです。
デジカメで撮影したデータはパソコン等に移すのが一般的なので、転送速度が遅いとデータ移動の時間が掛かるため注意が必要です。
以下、紹介する SD カードは、スピードクラスが全て Class 10 となりますので、仕様表記から割愛する旨ご了承ください。
万人におすすめできる SD カード
通常撮影から フル HD 撮影まで対応
- UHS-I
- UHS クラス … 3
- 最大読込速度 ………… 100 MB/秒
- 最大書込速度 ………… 60 MB/秒
- コンパクトデジカメ … ◎
- デジタル一眼レフ …… ◎
- ミラーレス一眼レフ … ◎
- Full HD 動画撮影 …… ◎
- 4K 動画撮影 ………… ◎
なぜ SD カードではなく micorSD カードなのか。単純に需要が大きく販売母数があるので、高性能で容量が大きいものが安く手に入るためです。
昨今はスマートフォンやタブレットを始め Nitendo Switch のようなゲーム機まで、microSD を記録媒体とする端末が増えています。もはや最新機種で使われているのは microSD が主流なのです。
ここで紹介した Samsung の EVO Plus レベルの性能を持つ通常の SD カードを探しても、ここまで安い価格では手に入りません。また SD カードのサイズに変換できるアダプターも付属しているので、購入後すぐに通常の SD カードスロットに挿入して利用できます。
アダプターを経由したところで、性能が落ちることはないので安心してください。
SD カードは消耗品です。大事なタイミングで使えなくなると困るので、カメラ用には予め複数枚持って運用するのが一般的です。そのため安くて高性能な製品が好まれる傾向にあります。
何を買ったら良いか迷ったら、これを選んでおけば間違いありません!
以前はもっと様々な種類の SD カードを紹介していましたが EVO Plus が全て上回ってしまったので、おすすめ商品が一気に減ってしまいました。
なお 64GB よりも 128GB モデルのほうが書き込み速度が 90 MB/秒 と性能が高いです。動画撮影するなら 128GB 以上が良いです。
また Samsung ブランドが嫌であれば、次点でおすすめの SD カードはこちら。僕はサブの SD カードとして利用しています。
EVO Plus よりも少し性能は劣るものの、コストパフォーマンスの面では悪くありません。
プロ用フラッグシップ機向け
UHS-II は転送速度が爆速
- UHS-II
- UHS クラス … 3
- 最大読込速度 ………… 300 MB/秒
- 最大書込速度 ………… 250 MB/秒
- コンパクトデジカメ … ×
- デジタル一眼レフ …… ◎
- ミラーレス一眼レフ … ◎
- Full HD 動画撮影 …… ◎
- 4K 動画撮影 ………… ◎
上記で紹介した製品より、転送速度は3倍の性能を持ちます。この SD カードは UHS-II の性能を持ち、プロ用機材に向けた製品です。画素数の高いフルサイズのカメラで撮影する際に使われることが多いです。
サイズの大きな高画質な写真を高速連写しても書き込める。それがプロ御用達の SD カードです。各メーカーが販売している最上位モデル(フラグシップ機)の Canon EOS 5D Mark4 や EOS R、 Sony α7Ⅲ、Panasonic Lumix GH5 や Lumix S1 には必要不可欠です。
なおプロ用機材として SanDisk Extreme Pro も推したいところですが、価格が高すぎるのでコストを抑えた ProGrade のほうが人気があります。
東芝の SD カードはどうなのか?
SD カードの定番とも言われている東芝の製品ですが、残念ながらおすすめできる製品がありません。売れ筋の製品は性能が低く、転送速度は Transcend の半分しかないのに値段は同じくらい。また高性能な製品は Samsung と同等の速度が出ても値段が倍近くするので、コストパフォーマンスは悪いです。
あくまでも個人的な見解なので、参考程度にとどめていただければと思います。
まとめ
数多くある SD カードの中から厳選して紹介させていただきました。簡単にまとめると次の通りです。
写真撮影が目的で動画は撮らない場合
- 容量は 32GB 以上
- UHS-I UHS クラス1で良い
- SDHC の規格でも問題ない
- microSD カードでも OK
写真も動画(Full HD)も撮るの場合
- 容量は 64GB 以上が望ましい
- 30 コマ動画撮影までは UHS-I UHS クラス1で良い
- 15分以上撮影するなら SDHC ではなく SDXC を選ぶ
- microSD カードでも OK
4K 動画撮影が目的の場合
- 容量は 64GB 以上
- UHS-I UHS クラス3が必要
- SDXC の規格を選ぶこと
- プロ用機材に近い性能の製品を選ぶ
冒頭で記載した通り、SD カードは目的に合ったものを正しく選んであげることが大切です。安くて能力が低い SD カードを選んでしまうと必ず後悔するので、まず性能から確認するようにしましょう。
ここで紹介したの SD カードは数こそ少ないものの、経験を踏まえて厳選しているので、どれを選んでも高い満足度が得られると思います。
SD カードは何年か経ったら、また買い替えが必要になる消耗品です。個人的には、購入時に最もコストパフォーマンスが高いものを選び、数年経ったら買い換えるサイクルを繰り返すのが、最も賢いやり方だと考えています。
以上、デジタルカメラに適した SD カードの選び方、そして、おすすめ SD カードの紹介でした。