防災グッズとしてスマートフォン用の充電器を用意するなら手回し式ではなくモバイルバッテリーを準備しよう
手巻きの充電式のラジオに、ライトと携帯電話の充電機能が付いたマルチな防災グッズがあります。一見、便利そうに見えるアイテムですが、スマートフォンを充電するのはかなり大変なのをご存知でしょうか。
手巻き充電はスマホに向かない
iPhone や Android の充電が無い状態から、起動に必要な分の充電をするには20分~30分掛かります。もうこの時点で、充電器としての実用性が無いに等しいのがお分かりいただけるでしょう。
フル充電にするためには、いったい何時間かけて充電しなければいけないのか。考えるだけで嫌になってしまいます。ラジオを聴くための充電と考えれば、そこまで電力を要しないので手回し式でも差し支えありませんが、それでも発電するのは結構根気が要ります。
お金を払って安心を買う
充電機能が付いたラジオは、概ね5,000円以上します。防災対策として高いお金を払って買ったのに、実際に役に立たなかったら意味がありません。どちらかと言うと、スマホの充電は需要に押されて付けたオマケの機能です。これでスマホが充電できるから安心と考えるのは甘いです。
このタイプの充電は、ラジオとライトの機能に特化したものと考えた方が無難です。充電機能を外してしまえば、もう少し安く購入することも可能です。こちらのパナソニックのラジオはコンパクトでラジオ局の自動選局機能も付いているので、外部充電を目的としなければイチオシの防災グッズです。
安すぎるのは丈夫に作られていなかったり、ラジオの周波数が合わせづらかったりと、いざ災害時に使うには不安材料があるので、少しお金を出してでも安心を買った方が結果的に良かったと思えるはずです。
スマートフォンを充電したいなら専用機器を用意
災害の被害状況によっては携帯電話の電波が入らず、通話機能やネット回線が完全に使えなくなる状況もあり得ます。しかし、いつどこで連絡が取れるようになるか分からないので、バッテリー残量が0の状態になるのは避けたいのが正直なところです。
実際に災害時には電話がつながらなくなっても、インターネットが生きている可能性があります。携帯電話が使えれば、少なくともメール等での安否確認ができるかもしれないのです。
手巻き充電が厳しいのであれば、充電用バッテリーを用意してしまうのが最も無難ではないか、と言うのが僕の中での結論です。
モバイルバッテリーのメリット
大容量バッテリーであれば、スマートフォンを3~5回フル充電できるほどのパワーを持っています。災害時は一日中スマートフォンを操作することはないので、毎日バッテリーが空になることはないと思われます。(ただしスマホのバッテリー性能が低下していて、すぐバッテリー切れの状態になるケースを除く。)
また Android や iPhone に限らず、USB 給電できるアイテムを揃えることで、同じモバイルバッテリーを流用することができます。例えばこちらのラジオも USB 端子から充電することが可能なので、別途ラジオの電池をどうするか考える心配はありません。
また同様に USB で充電できる LED 懐中電灯もあります。状況によっては長時間明かりを照らさなくてはいけなくなるため、きちんと電池で作動する方が勝手が良いのではないでしょうか。そして USB 給電式の懐中電灯の中には、モバイルバッテリーとして使える便利なアイテムもあります。
単なる予備バッテリーではなく、10,000mAh とモバイルバッテリーとしても大容量の部類に属するリチウムイオン電池を内蔵しています。最も暗い状態で使うと連続60時間、最も明るい状態で使うと連続30時間も使用できる、耐久性に富んだ懐中電灯となっています。
ただ、災害時には明かりはどうしても必要になるので、充電用バッテリーとして使うことを考えるよりは、長時間の照射力がある懐中電灯として利用した方が望ましいと思います。一方で電池容量が大きいと重量もあり、上記モデルは 315g と単1電池2本を必要とする昔の懐中電灯と同等の重さがあります。
被災時に移動することを考えると荷物は軽いほうが望ましいので、重量については悩ましいところです。
またリチウムイオン電池の特徴として、気になる点が1つあります。そちらは次のデメリットの点で説明します。
モバイルバッテリーのデメリット
グッズを揃えれば何でも充電できるモバイルバッテリーは、便利なアイテムと感じているかもしれませんが、防災グッズとして考えた時のデメリットもあるので、その点を把握しておいてください。主に以下の2点が挙げられます。
- 持ち運ぶには重い
- リチウムイオン電池は自然放電する
まず1点目。容量が大きくなればなる程、バッテリー重量も大きくなります。例えば僕が最もオススメするモバイルバッテリーの1つである Anker の PowerCore シリーズ 13,000mAh のバッテリーは 240g です。
日常持ち歩くには重いと感じます。しかし防災グッズには乾電池が必要とされています。これは電池式のラジオや懐中電灯に使ったり、火を起こすために用いられます。電池の重量を考えると、モバイルバッテリー式にすることで大きく重さが変わることはありません。
モバイルバッテリーを用意しておくにせよ、乾電池はあった方が都合が良いので、バッテリー重量を重いと感じるかどうかは個々の判断により変わってくるかもしれませんね。
質量よりも問題として把握しておかなくてはいけないのが2点目の自然放電です。つまり、使っていなくても電池の容量が減ってくると言うことです。(自己放電と呼ばれることもあります。)
防災グッズとしてフル充電されたモバイルバッテリーを用意していたのに、いざ使おうとしたら容量が減っていて使い物にならないなんてことも考えられるのです。リチウムイオン電池は自然放電が少ない方と言われていますが、それでも一般的な日本のメーカーのアルカリ電池よりは放電率が高いのです。
この件については電池の性能に依存するため、一概にどのくらいと定義されているわけではありませんが、リチウムイオン電池の場合、1ヶ月そのまま放置しておくと、最大 10% ほど自然放電されます。つまり1年経ったら空っぽになっている可能性が十分高いと言えます。
一方、普通のアルカリ電池である パナソニック EVOLTA の場合は、10年保存が可能になった電池で、自己放電の量が少ないことが分かります。
各社のモバイルバッテリーの情報を見ても、自然放電による1年後の電池残量に関する情報が無いため、正確な情報はお伝えできませんが、防災用としてバッテリーを非常用持ち出し袋の中に入れっぱなしにしておくことは、あまりおすすめ出来ないと思います。
モバイルバッテリーを防災用に使うにはどうしたら良い?
結論は見えていると思いますが、こればかりは定期的に充電するしか方法がありません。3ヶ月に一度、長くても半年に一度は充電してあげるタイミングを作ってあげることが必要になります。そう考えると結構な手間ですよね。
そこで提案するのが、モバイルバッテリーの2台持ちです。
1台は日常の持ち歩き用として、2台目は防災用として自宅に置いておきます。そして、常にこの2台を交互に使うようにすれば、電池残量が空になる心配もありません。天災はいつ起こるかわかりません。自宅に居る時もあれば、職場に居る時間帯である可能性も十分あります。
2011年3月11日に起こった東日本大震災が発生したのは、14時46分と出先で被災した方が数多くいます。僕もその時間は自宅ではなく新横浜の建物の中に居ました。この時、簡易モバイルバッテリーを持っていたので、震災後は常に情報収集のためネットへ接続しっぱなしでしたが、自宅へ帰るまで携帯電話(当時はガラケー)の電池が切れることはありませんでした。
重量の面で持ち運びが大変ではありますが、2台を使い回す方法は、メリットの方が大きいと感じています。もし、モバイルバッテリーを利用する方法を検討されるのであれば、この方法を実践してみてください。少なくともスマホの充電が切れる不安は軽減されるはずです。
2台持ちは手間だから避けたい、防災グッズに特化した充電器を求めている方は、自然放電を気にする必要のない 太陽光で充電 できるモバイルバッテリーを検討してみてください。
太陽光発電のスマホ用バッテリー
晴天時の充電能力の高さは抜群の Anker PoerPort Solar です。こちらはアウトドア派の方にも人気のアイテムです。リュックに引っ掛けることもできるため、登山しながらの充電といった用途にも利用できます。
電気は無くても光があれば充電できるのは、まさに防災グッズとして最適です。重量 420g とやや重いですが、電池が無くなっても改めて充電できるのは大きな利点ではないでしょうか。少なくとも電池が無くなる心配からは開放されます。また、前述で紹介した USB で充電できるグッズと共に用いれば、その効果は更に実感できるでしょう。
どうにかしなきゃと思ったら、すぐ実行
実際に被害の中心地にいたら、どのような状況になるかは起こってみないと分かりません。しかし被害が大きいと、水道・ガス・電気といったライフラインは閉ざされてしまうのが現実です。飲料水の件についてはここでは触れませんが、ガスは無くとも電気があれば解決する問題は沢山あります。
スマートフォンの充電に限らず、災害時必需品のうち電気で動くものは、電池があればどうにかなります。大切なのは事前に準備しておくこと。これに尽きます。
今からでも遅くありません。気付いた時に実行することが、防災対策の第一歩になります。日本には地震の無い地域はありません。自宅で被災することもあれば、職場で被災することもあるのです。
そのうち準備すると後回しにする前に、今一度、向き合ってみてください。少なくとも、防災対策として足りないもの、買い足さなくてはいけないものが見つかるはずです。
最後に、防災グッズとしてモバイルバッテリーの購入を検討されるのであれば、以下のページを参考にしてみてください。需要に見合ったバッテリーを見つけることができるかもしれません。